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視点がコロコロ代わります。読みにくかったらすみません。
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「ちょ、離してください…‼」
遠くから聞こえた声に目を移す。
そこには、トイレに行っていたはずのAヌナと、その腕を掴んでいる男の姿があった。
目に涙を浮かべているヌナの様子に心が騒つく。
「A…「ヌナ‼‼」」
助けに行こうとした俺の横を、誰かが走り抜けていった。
誰かなんて見なくても分かる。
俺は自分が助けに行くことも忘れ、走っていく後ろ姿を呆然と見つめることしかできなかった。
「お願い、離して…っ!嫌…‼」
怖い。
振りほどこうと思っても力が強く、ふりほどけない。
その時、反対の腕を誰かに掴まれた。
「離してください」
聞きなれた声に顔を上げると、そこにはテミンの姿があった。
相手の男に睨みを利かせているテミンだが、男は離す気配はなく、更に引っ張ってくる。
「痛っ…」
腕に走った痛みに声を漏らすと、テミンが男の腕を無理やり引き剥がし、私を背中に隠すようにして立つ。
スタッフが呼んだ警備員に捕らえられ連れて行かれる男を呆然と見つめていると、身体中から力が抜けて床に座り込んだ。
どうしよう、体の震えが収まらない。すると、テミンが急に振り向いた。目線を合わせるように腰をかがめ顔を覗き込んでくる。
「怖かったね、ヌナ。
ほら、もう大丈夫だよ?」
優しく頭を撫でてくれる手に、変わらないテミンの優しい笑顔に、堪えていた涙が溢れ出した。
「っ…テミ…」
「なに、Aヌナ。
大丈夫、僕はここにいるよ」
「ふっ…ぅ…テミナぁ……」
震える体を優しく包み込んでくれる腕に、暖かいテミンの体温に更に涙が込み上げてきて、私はテミンの服を掴みながら彼の腕の中で泣いた。
ねぇ、テミン。
この時どうして助けてくれたの。
あなたにはナウンがいるのに…。
きっと、テミンが来なくてもジョンインやスタッフさんが来てくれるのに……。
でも、嬉しかった。
この時私の中で1番に浮かんだのがテミンだったからーー。
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あん(プロフ) - リラさん» わぁ、リラさん!まさかこちらも読んでくださっていたなんて(O_O)感無量です!嬉しくて涙がちょちょぎれそうです(>_<) 頑張って更新しますので、こっちの方でもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月21日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
リラ(プロフ) - |ョ・ω・`)チラッ…こちらも楽しみに待っていたり… (2017年9月21日 18時) (レス) id: 71a684b419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あん | 作成日時:2015年12月26日 2時