14.side.Kai ページ15
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とうとうこの日が来てしまった。テミン、ナウンさん夫婦との合同撮影。
スタッフが慌ただしく動いているのをぼーっと眺めながらそんなことを考える。
ヌナは俺の隣でなにやら携帯を操作していて顔を上げないため、どんな表情をしているのかわからない。
「ね、ジョンイナ」
「ん?」
声をかけられヌナの方を向くと、初めて目があった。その瞳は、自分の感情を隠しているのか、それとも何か別のことを考えているのか、俺には読むことが出来ない。
「一緒に踊る?」
「え、今?」
俺が驚いて返した言葉にヌナは頷くと、開いていた携帯の画面をこちらに傾けてきた。
画面にはHISTORYのダンスのプラクティス動画。
「さっきから怖い顔してる。
そんな顔じゃきっと撮影もキツくなるだけだよ。ほら、ペン達も見てるし…。私も、ジョンインとの仕事は楽しくやりたいから」
俺は呆気にとられたようにヌナの顔を凝視する。
なんでこんなにも人の気持ちに敏感なんだろう…。Aヌナは昔からそうだった。テミンと喧嘩した時も、月末のダンスの試験でうまくいかなくて落ち込んだ時も、気づいたら隣にヌナが居てくれた。
「HISTORYのダンス、好きだから覚えたんだよね。私、今日ショートパンツだし、ばっちり踊れるよ」
そう言ってやんわりと笑ったヌナに、俺も笑い返す。今はテミンとナウンさんの到着が遅れているとのことでまだ少し空き時間もある。
俺たちは立ち上がると、軽くストレッチを始めた。
「俺、携帯に音源入ってるよ」
「お、いいね。
流して流して。踊ろう」
曲が始まってしまえばダンスに集中してしまうのは、互いのグループでメインダンサーを務める俺たちだからだろう。どうやらヌナはギョンスヒョンのパートを踊っているようで、立ち位置まで完璧だ。
踊り終わったくらいに、丁度スタッフから声がかかった。
どうやら遅れていた2人が到着したようで、撮影準備のために多少乱れた髪型を整えてもらう。
「よろしくお願いします」
「お願いします」
2人の声が聞こえ、顔を向けると笑顔を浮かべているナウンさんとテミンの姿。
チラリとAヌナを見ると、まだスタッフのヌナに呆れられながら髪型を整えてもらっていた。
「あ、今日はよろしくお願いします」
こちらへとやってきたナウンさんが、俺にペコリと可愛く頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
軽く頭を下げた俺は、顔を上げた時に奥に見えたテミンと目があった。
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あん(プロフ) - リラさん» わぁ、リラさん!まさかこちらも読んでくださっていたなんて(O_O)感無量です!嬉しくて涙がちょちょぎれそうです(>_<) 頑張って更新しますので、こっちの方でもよろしくお願いします^ ^ (2017年9月21日 20時) (レス) id: b38a5c814a (このIDを非表示/違反報告)
リラ(プロフ) - |ョ・ω・`)チラッ…こちらも楽しみに待っていたり… (2017年9月21日 18時) (レス) id: 71a684b419 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あん | 作成日時:2015年12月26日 2時