添い寝フレンド【WN】 (ページ5)

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キッチンの方からガチャガチャと音が鳴るのを見るに、彼は私のお気に入りのコーヒーを無断で入れているのだろう。

何回言ってもやめてくれないんだから。

クルクルと手を動かし続けていると巻き終えた髪の毛。

ほぼ白に近い金髪は、いつもの「A」に見えるように私の顔を華やかにしてくれている。

…………私もストレートが好き。

そんなこと口が裂けても言えないけどね。

洗面台に置きっぱなしにしていたお気に入りのネックレスをつけてリビングへ戻ると、先程よりはマシになった目つきの彼がパンをちびちび食べていた。

『メガネは？』

「あー、ベッド近くにあると思う」

他人事のようにそう言う彼に呆れて寝室からメガネを取ってきてあげた。

「どうも」

『じゃ、私出るから戸締りだけしっかりよろしくね』

「おー」

『行ってきます』

「いってらー」

意識が覚醒しきっていないのか全て間延びした声で返してくるウォヌ。

スマホの時間を確認すると丁度いい時間。

お気に入りの落ち着いた色のコートではなく、その横にかけてある白のようなホワイトベージュのような色のコートに腕を通し家を出ると、室内の何倍も肌に突き刺さる冷気が頬を撫でていった。

私は

「少し抜けてて、男女共に誰とでも仲がいい妹みたいな憎めない可愛いA」

そんな自分のキャラクター像を自分に落とし込みながら、ポッケに入れた辛いフリスクを何粒か口に入れて気合を入れ、駅に向かう人混みの中へと一歩を踏み出した。