・ ページ25
・
【あんたがいるから___が馴染めないのよ!!】
『ッ、!!…ぁ』
もう少しで微睡みの中に溶け込めそうになった瞬間、何度も何度もフラッシュバックするヒステリックな叫び声に意識を引き戻された。
毎日毎日、眠りにつこうとすると暗闇の中から私を現実に引き戻す声。
ベッドの上で荒い呼吸を繰り返す私は、金縛りにでもあったのかと思うほど体が固まり、下着を通り越していくほどの汗で体は冷えていく。
生理的な涙なのか、フラッシュバックした記憶への拒否反応なのか、無機質な冷たさが頬を伝う。
『……もうヤダ』
こんな毎日が続いていると、眠りにつくこと自体がトラウマのトリガーになってしまい睡眠そのものが怖くなっていくのもしょうがないだろう。
私を苦しめる存在が今は近くにいないと分かっているのに、どうしても苦しめられるのは私が弱いからなのか。
中学時代に散々悩まされた睡眠障害も、韓国から離れてカナダで暮らすと治ったのに帰国した途端にこの様だ。
それでも睡眠導入剤に依存する昔の生活にはどうしても戻りたくなくて、この頃の私は寝不足の体に鞭を打っていつもの「A」を演じていた。
1740人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい - 更新楽しみにしてます! (3月1日 20時) (レス) @page30 id: 3896a50651 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:violet | 作成日時:2023年3月6日 19時