姿が見えない彼女 Ⅱ【kid】 (ページ15)

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『元気だっ…た？』

最悪、会話デッキのチョイスが悲惨すぎる

「元気にしてましたよ、仕事も忙しいけどやっぱりやり甲斐があるし！ハッやり甲斐田…ッ」

突然僕の名前を使ってダジャレを言う

あー、くだらないギャグも全て許してしまう…何この人

『Aってなんでこんなに会話するだけで癒されるんだろ』

「え……っ？」

『アッすみませ…忘れてっ』

心の声だだ漏れかよ僕

『私、癒しですか？癒されますか？晴くーん？』

ニヤニヤと僕の顔を覗き込んでくる

正直、身長差があるので自然と上目遣いになる。

たすかる

『…癒しですよもう！』

こうもなったらヤケクソだ

『Aに最近会えてなかったじゃん？甲斐田の癒し無いじゃん？いやそりゃリスナーも心の支えだけどやっぱ寂しかったじゃん！？仕方ないよね！？ね！？』

オタク特有の早口みたいになってしまった。

恥ずかしくて彼女の顔を見れない

『ちょ、無言やめて！しんどい！心が！』

ずっと無言のままの彼女の顔をちらっと見る

「ぁ……え……」

声にもならない可愛らしい声が出てきた

これは、自惚れてもいいのだろうか

目を見開いてほんのりと頬が赤く染まって
何回もぱちぱちと瞬きをしている彼女__

『可愛い……』

つい声に出して言ってしまった

「か…からかわないで」

そう言いながら僕の胸をポカポカと叩いてくる

あれ、なんかすごく…距離縮まってる気がする。

『僕も…こういうキャラじゃないんだけどなあ……』

甲斐田晴という人間はここまで女性に対して
あーだこーだ、ましてや可愛いだなんていうキャラじゃない

「あーわたし、ひまちゃんのとこ行かなきゃ……っじゃ！」

とかバレバレな嘘を言いながら逃げようとするA

『あの…ひま先輩なら先程帰っちゃいましたよ』

他のライバーさんなら僕も信じただろうに…
つくづく運のない人だ…

「う、うーん！だよねー！さっき帰るって言ってたわハハ」

すんごい棒読みじゃん…

『そんなに甲斐田と一緒に居るの、嫌ですか？』

これは本心

流石に照れてるのは分かっているけれど
そこまで全力で逃げられると嫌われているのではと思ってしまう。

「そ、それは…」

その時だった。

「あ！Aちゃん！甲斐田！おつかれ〜！」

タイミング最悪すぎませんか？

不破さん_？