徒然譜置場【気象】 (ページ5)

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零時の雨 1126．1 ページ5

今日は雨が降っていた。

今年が終わるまであと少しでとうとう一ヶ月を切ろうとしている。それにも関わらず季節外れに生暖かい外気。雨粒は大きいようで、ボタボタと一つ一つが音を立て、それが重なり、また一つの大きな音を奏でる。

俺は窓を開けていた。大きな掃き出し窓。ここまでの大雨だと、幾ら屋根があっても大量に雨水がベランダ内に入ってきていて、膝を抱えて座る俺の爪先にも届いていた。外気は温いが、風が吹くとさすがに寒さを感じた。

いつもなら寝ている時間だが、何故だか目が冴えてしまう。部屋の電気は点けず、テレビなど音や光を発するものは全て消して、音と暗闇を味わう。
街灯のおかげかそこまで暗くはなく、辺りははっきりと見えていた。
どれだけこうしていただろう。それでもこれはなかなか飽きない。

雨の音の中に一人異質な電子音が耳に届いた。違和感を感じ部屋の中へ目をやると、テーブルの上に置いてあったスマートフォンが振動し、ディスプレイが点いていた。どうやら電話のようだ。
歩み寄って画面を確認すると、相手はよく知れた人物で。無意識にも口角が上がってしまった。

「……はい、もしもし？」

「あ、リーダー？」

その声色はいつもよりとろんとしている気がした。今となっては懐かしい響き。ついこの前までは毎日当たり前のように呼ばれていたのに。

「なにニノ。珍しいね電話なんて」

「ふふっ。どーせ暇してんだろうなと思って」

「うるせえな。めっちゃ失礼だかんな」

少し笑い合う。他愛のない、大して面白くもない話をして、ツッコんで、ツッコまれて、また笑って。
何も変わらない、いつもの彼。いつもの会話。