▼第一譚 ページ2
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「__というわけで、君には異動して貰うことになった。
これは決定事項だ。如何なる理由があろうと、異論は認めない」
「……分かりました」
花の捜査一課に配属されて早五年、俺は異動する事となった。
特に思い入れ等は無かったものの五年もいた部署を旅立つとなると若干寂しく思うところもある。
確か配属先の場所は捜査資料が保存してある倉庫の奥だったか。どうしてそんな場所に部署をつくったのか俺には理解ができないが、行くしかないみたいなのでしょうがなく足を進める事にした。
資料の入っている段ボール箱が積み上げられている所を潜ると、道のようなものが出来上がっていた。これは事前に場所を知らされていなかったら中々見つからなかっただろうな、なんて思いながらさらに進むと古ぼけた木製のプレートに何やら文字が書いてあるようだ。
「怪異事件担当部署……?」
聞いた事のない名前だ。新しく出来たのだろうか。
そうだとしてもわざわざこんな人目につかない場所に作るわけがないだろう。
怪異事件…… 文字の感じからして中々に酷い死体が集まっていそうだ。
死体に慣れている元捜査一課の俺が飛ばされるのも納得がいく。慣れていると言っても酷いものは見たことがないが。
聞いた事のない名前だが古ぼけた扉を見る限り、大分前からこの部署は警視庁内にあったようだ。
おそらくここに配属される人以外には決して知られないように上層部が徹底管理してきたのだろう。何のためかは知らないが大きな理由があるはずだ。
「ふぅー……失礼します」
深呼吸をひとつ吐いて『怪異事件担当部署』と木のプレートに書いてある古ぼけたドアを開ける。
ギィとドアが軋む嫌な音がするがこれから慣れなければいけない。これは骨が折れそうだな。
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作者名: x他2人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/csshaihuya/
作成日時:2022年4月8日 13時