泥棒[宮侑/宮治] (ページ31)

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28個目＊少し修正ページ31

侑『ええか、親が寝た深夜一時、俺らが迎えに行くから窓開けて紐たらしといてな。そういたら俺らが紐引っ張るから』

そういわれ即席で作った縄跳びの紐を二階の窓からぶら下げた。流石に小学六年生に深夜一時まで起きてろというのは無理があるらしく何度も眠りそうになるのをこらえて起きていた

そして深夜一時

ちょんちょん

窓からぶら下げていた紐に反応があった。ここからが私の勝負である。まず外にいる二人に私のお菓子の入ったリュックと上着をキャッチしてもらい、ベッドには布団やら服やらを丸めたものを置いて上から布団をかけ、私があたかもいるかのように工作した。そして私はパジャマのまま外に出る。その間には第一関門の両親の部屋があり、息を殺して移動しなくてはならない

起きませんように起きませんように

短いはずの廊下が百メートル走の長さに感じるほど祈りながらゆっくりと進んでいった

「・・・・・なのかぁ・・・？」

心臓が握りつぶされたかと思った。しかしすぐに父のいびきが聞こえたため、寝言と理解し心の底から安心した

そして玄関に到達
ここが第二関門である。二人を起こさないようにゆっくりと鍵を開け、そして細心の注意を払いながらドアを開けた後閉め、そしてゆっくりと鍵を閉めるという三段階の工程があった

ゆっくりと鍵に手をかけ、これでもかというぐらいゆっくりと鍵を開けた。そしてなるべく音をかけないようにゆっくりとドアを開け、ドアを閉めた。そしてあとは扉に鍵をかける
変な汗で気持ち悪かったが夜風がとても気持ちがよかった

治「よし、ほんなら行くで」

夜の街は知らない世界だった。いつもなら人でにぎわっている私の知っている公園はそこにはなく、あったのは夜の暗闇に飲み込まれている初めて見た公園だった。街頭に照らされながら三人でくっついて歩いていた。しかし、不思議と禍々しさはそこにはなかった。ただ好奇心が少しあった。それは二人も同じようで、恐怖感は顔にはなく、少し楽しそうにしている感じだった

侑「よっしゃ、着いた！」

丘の展望台へと私たちは着いて、そしてそこで見た景色に私たちは言葉を呑んだ。
そらいっぱいに広がる星々、そして私たちを照らす月。私たち以外この世界にいない感覚に陥った
この街に、世界に取り残された、そんな感覚だった

しばらく私たちは何もしゃべらなかった