*南方へ*7* ページ19
「…はい。これで終わりな。」
パシッと軽く、腕を叩いてやる。
「いったぁ!!」
「多分、化膿とかはしないから。一日二回はこれ塗れ。」
ポイッと投げてやると、ブツクサ言いながらも受け取るオデュス。
「痛いけど…助かったわ。ありがとさん。」
「はいはい。」
軽く受け流しながら、包帯を片付ける。
さっきの事も、思い出していた。
ー・・・レイを、刺すのか。
そう思った刹那、ナイフが切り裂いたのは…。
オデュスの右腕だった。
血を滴らせたまま。
炎を纏ったレイに抱きつくオデュス。
ジュッと音をたてて消える炎と共に意識を飛ばしたレイ。
右腕の鋭い痛みに耐えながら、レイを抱き抱えるオデュス。
オレは、長年の経験から…
危険だ。
そう悟った。
「オデュス。レイを降ろせ。そっから動くな!
傷口を、心臓より高くあげとけ!」
持っている鞄から、救急箱を取りだして走り、急いで処置を施して ー 今に至る
「にしても…あんさん上手いな。」
「何が?」
「処置の施し方。」
「そういう生まれ。」
「…………は?」
「は?」
「そういう生まれ、てどういう事?」
「そのまま。オレは、医者の生まれ。」
嘘だけど。
「…ふーん……そ。」
さして興味はない、とでも言うようにドカッと座り込むオデュス。
それに続いて、オレも座る。
隣には、疲れたように眠り続けるレイ。
そのオレンジの髪を手ですきながら、どうしようと思っていた。
この沈黙。オレにはキツい。
と、焦っていると。
「…聞きたい、か?」
じっと、真剣な顔でオレを見つめるオデュス。
「何を?」
「サラ……レイチェルの、あの魔法。」
アレか。
あの魔法か。
「知りたいか?」
「………………。」
…オレは…………。
「別に、いい。」
「えっ?」
「そういうの、本人から聞きたい派。」
他人から聞いた秘密程、気持ち悪くて後味の悪いものはない。
少なくとも、オレはそう思ってる。
「じゃあさ……。」
「俺のは?とか言うんだろ。聞きます。」
「……え。」
「え。」
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作者名:茶黒猫 | 作成日時:2014年12月19日 20時