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ホームルームで欠伸をしたばかりに担任から面倒事を押し付けられた。解せない。プリントぐらい自分で持っていってほしい。
大体、入学して間もないのだから、校舎がどんな風になっているのか把握できていない。
因みにかれこれ10分ほど彷徨っている。職員室どこ。
「わっ」
「おっと!」
前方不注意。誰かとぶつかってしまった。
まずいと思って「すみません」と謝ろうとして顔を上げる。
目の前にはつい最近見た、見覚えのある顔。
「杉岡……さん?」
「ああ!穂高さんやん!昨日ぶりやね」
昨日の放課後に出会った藤崎さんの知り合いらしき人。こんなにすぐ再会するとは思わなかった。
「すみません、よく前を見てなくって」
「ええねん。それより穂高さん、ここ3年のフロアやで。どしたん?」
「ちょっと職員室まで行きたかったんですけど、この通り迷ってて、」
「エ!?ちょっとすぎるさん、この子誰ですかぁ!?」
私の声を遮るように、食い気味に誰かが杉岡さんの後ろからひょこっと姿を現す。
前髪が少し長めの男子生徒。制服の下に青いパーカーを着込んでいる。杉岡さんと同じスリッパの色、彼も3年生だ。
何故か私と杉岡さんを交互に見ては言葉にならないうめき声をあげている。
そんな彼を杉岡さんはとてつもない冷ややかな目で見ていた。
「……しゅーさん、しゅーさん。困っとるでやめたげて」
「いやいやすぎるさん!なあに新学期早々に女子口説いてるんですか!!」
「口説いてへんわ!蘭たんのクラスメイトの子や!」
「らっ!?あっ、年下!?新入生に手出したんですか!?」
「何を言うとんねん!話聞けや!」
目の前でコントのような会話を繰り広げる2人。
変な誤解が生まれているような気が。
「あの、そんな思ってるような間柄じゃ……」
「ええ?ほんとに?」
私の言葉に首を傾げ、ずいっと詰め寄ってくるパーカーの3年生。前髪の隙間から見える細い目に見据えられ、少したじろぐ。
「昨日蘭たんのプリント取り行ったとき親切にしてもらっただけや。いい加減にせよ」
「ハーイ。まあすぎるさんに女子の知り合いとか無理ですもんね」
「おい!ブーメランやろそれは!!」
さりげないディスりに対する杉岡さんの鋭いツッコミが廊下に響き渡った。
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ぱるぱる(プロフ) - けみすぅさん» お待たせしました……!ありがとうございます、頑張ります!! (8月12日 15時) (レス) id: 7a8872ac1a (このIDを非表示/違反報告)
けみすぅ(プロフ) - お待ちしておりました…、!!無理ない範囲で更新頑張ってください楽しみにしてます…♡ (8月9日 4時) (レス) @page18 id: 32d0e6279e (このIDを非表示/違反報告)
ぱるぱる(プロフ) - 八分雨_さん» ありがとうございます!!!!エモすぎて泣きました…… (2021年6月12日 20時) (レス) id: c973c4b273 (このIDを非表示/違反報告)
八分雨_(プロフ) - 初コメ失礼します!作品めちゃくちゃに大好きです!…夏終わりませんよね… (2021年6月10日 6時) (レス) id: 1ae85e2dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるぱる(プロフ) - 散歩雨さん» アッアッアッありがとうございます!!!!そう言っていただけてとても嬉しいです!伸びるように更新頑張ります! (2021年5月28日 21時) (レス) id: be4d8b08b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱるぱる | 作成日時:2021年5月12日 0時