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借りた教科書を取りに鞄が置いてある部室まで走った。
走りながらふと、あの子の顔が思い浮かんだ。
「(はっちを見た穂高さん、なんや変だったな)」
自分らの背丈より遥かに高い長身の男が背後に居たから吃驚したのかもしれない。だけどそれにしては妙だった。眉根を寄せて、目を見開いて、小さな唇は微かに震えていた。
見たくないような、見たくなかったような、なにか含みのある表情。
まあ。それも全部俺の思い違い、気の所為かもしれない。
とにかく二人を待たしては悪いと思って駆け足で戻った。
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「あれ?」
しかし辺りを見渡しても見慣れた背の高い男しか居なかった。
「彼女なら電車がどうとか言って帰りましたよ」
残念や。せっかくなら蘭たんのクラスでの感じが聞きたかったのに。仕方がないからそれはまたの機会にするとして。
「そうなんやね。教科書ありがとうな」
「次忘れても貸しませんよ」
「……善処します」
俺がへらへらと笑って見せるも、はっちは難しい顔をしていた。俺としゅーさんの忘れ物の多さに痺れを切らしたのかと思ってちょっと怖くなった。
でもそれは杞憂だった。何やらはっちは別のことに思考を巡らせていた。
ぽつり「彼女……」と言葉を零す。何故か穂高さんのことが引っ掛かるみたいやった。
「あの子がどうしたん?」
俺の問いかけにはっちはすっとグラウンドの方へ顔を向けた。
「どこかで会ったことがある気がして」
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ぱるぱる(プロフ) - けみすぅさん» お待たせしました……!ありがとうございます、頑張ります!! (8月12日 15時) (レス) id: 7a8872ac1a (このIDを非表示/違反報告)
けみすぅ(プロフ) - お待ちしておりました…、!!無理ない範囲で更新頑張ってください楽しみにしてます…♡ (8月9日 4時) (レス) @page18 id: 32d0e6279e (このIDを非表示/違反報告)
ぱるぱる(プロフ) - 八分雨_さん» ありがとうございます!!!!エモすぎて泣きました…… (2021年6月12日 20時) (レス) id: c973c4b273 (このIDを非表示/違反報告)
八分雨_(プロフ) - 初コメ失礼します!作品めちゃくちゃに大好きです!…夏終わりませんよね… (2021年6月10日 6時) (レス) id: 1ae85e2dd8 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるぱる(プロフ) - 散歩雨さん» アッアッアッありがとうございます!!!!そう言っていただけてとても嬉しいです!伸びるように更新頑張ります! (2021年5月28日 21時) (レス) id: be4d8b08b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱるぱる | 作成日時:2021年5月12日 0時