【npl】春一番

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(side：L)

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　やっとの思いで全種目が終わった。俺だけ周りよりも桁外れに息切れしている。因みに記録も桁外れだ。運動はほんと無理。

　男子の集団から少し後ろをだらだらと歩いく。
　クラスメイトは女子を見て顔が可愛いだの胸が大きいだの、何だの話ている。年相応の下心だ。至って健全。俺だってめちゃくちゃ見た。


　さっき、ちょうどハンドボール投げをしていた穂高と目が合った。手から放たれたへなちょこボール。人のこと言えないけどすげえ下手クソ。



「(あいつも同類かあ)」



　ぼけーっとそんな事を思っていたら、穂高は中嶋さんと50メートル走のスタートラインに立っていた。今から走るらしい。

　どうせ遅いだろ、と高みの見物気分で眺める。



　パンッと大きく響く号砲と同時に、二人は弾かれたように走り出す。



「はっや……」



　思わず口から言葉が溢れた。

　穂高も中嶋さんも、めちゃくちゃ速い。疾風の如く駆ける。周りの男子たちも俺も、その圧倒的な速さに唖然とする。


　先にゴールをしたのは中嶋さんだった。と言ってもその差はほぼ無いに等しいと思う。

　走り終えた二人は何やら楽しげに話している。



「そういや中嶋さん、自己紹介のときに中学は陸上部って言ってたな」
「あー、なんか言ってた気がする。それにしても速すぎ……」
「下手したらお前よりも速いだろ」



　前を歩いていた男子たちが女子の話で盛り上がっていた。
　新学期の始め数日は休んでいたから、クラスメイトの自己紹介は聞けなかった。陸上部出身なら納得がいく速さだ。……じゃあ穂高は？



「でも、穂高さん確か美術部って言ってたぞ」

「は！？運動部じゃねえのかよ。やべえな」



　耳を疑うような話が耳に届く。


　……何者だよ穂高。



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作者です。更新が滞っていて申し訳ないです。(しかも短い)某コラボTRPGで大ダメージを受けておりました。夏が終わらない……。

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