絶望の終焉。希望の始まり……？ ページ9
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そして今、私は困惑してしている。
私は｢片桐 A｣なのか、｢石川 A｣なのか、それとも全くの別人になってしまったのか。
それとも｢片桐 A｣はとっくに終わった少女の話で、私は｢片桐 A｣の記憶を得ただけなのだろうか。
｢片桐 A｣が絶望の終焉を迎えた少女だったら、｢石川 A｣はどうなのだろうか。希望の始まりの乙女？違う。違う違う。私は違う。私は｢石川 A｣なんかじゃない。何も疑わないお人好しな｢石川 A｣はもう私では無い。
つまるところ、｢石川 A｣も終わったのだ。
私が記憶を取り戻したその時に。
｢私は、誰？｣
そんな言葉が口から滑り出した。
この問いは、これで二回目。
かほが辛そうに顔をしかめて言った。
｢Aは、Aだよ。他の誰でもない。｣
｢かほ、ちゃんは知ってたんだよね。どうして言ってくれなかったの？｣
そう問うと、かほ"ちゃん"は顔を俯かせる。
｢約束だったんだ。誰との約束かは言えないけど、僕がその約束を敗れるような相手じゃない。｣
｢そう…だったんだ。
滑稽だった？昔のことを一切合切忘れて、正義ぶってた私は。
まるで私だけ、お芝居に紛れ込んだみたいね。かほちゃんからは私の姿はどう見えたのかしら？
義理の親を、本当の親だと信じて疑わず、愛を信じて人を愛そうとした私の姿は。｣
言葉をねじ込む度に、嗚咽が混じる。
一言話す事に、涙が1粒ずつ零れて行った。
しゃくりあげながら、何とか最後まで言い切る。
これが物語だったら、お芝居だったら今頃沢山の拍手を受けながら幕引きのカーテンは閉められているだろう。
一人の少女の、悲しいお話として。
でも現実はそんな都合良くフェードアウトしてくれない。終わってくれない。
終わってほしい。終焉を迎えて、カーテンを引いてしまいたい。
だから私は逃げた。
ここでは、この現実では終わってくれないから、自分の世界に逃げ込んだ。
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