検索窓
今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:8,934 hit

146 ページ46

.


《…最後の誘惑にも抗う、か。それもいい。それも面白い。…君がどんな人生を送るのか、僕はすごく興味深いよ。》


「まどろっこしい!帰すか帰さないか!はい答えて早く答えて今!すぐ!」



イライラが爆発し、回りくどいそいつを急かす。



《帰してあげるよ。そもそも君の主人公が誰か答えられたところで帰す予定だったんだ。でも僕は》


「はいストップ。もう大丈夫だから帰して、早く。トロトロしてられないの。」



また長々と続けそうな、実体のない声だけのその人を留めた。



《仕方ないね。振られてしまって長々と引きずるのは確かに男らしくない。よし、ここは潔く諦めて帰してあげるよ。》


「もっと早くに諦めてよ…」


《そんなの土台無理な話だね。》


「偉そうにしない。」



《手厳しいことだ。…そうか。分かった。それじゃあ、丹田に力込めて目をつぶってて。ミスったら体がばらばらになるよ。》



寒気を感じ、慌ててへその上あたりにある丹田に集中して力を込め、目をぎゅっと閉じた。




《じゃあね、楽しみにしているよ。君の絶望の先を。》




誰かが私の肩を叩き、耳元で吐息混じりに囁く。

それにゾクッと身体を震わせた瞬間、体がどこかに引っ張られる感覚がした。



存在感が根元からごっそり持っていかれた感覚。


自分の存在が足の先から消えていくような錯覚に陥り、恐怖で肝が縮む。

147→←145



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.1/10 (16 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
9人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 潰し , 合作
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:松野かほ&白鼬 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。