137＊流血注意 ページ37
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異常な暑さを感じる。否、これは暑さじゃない。熱さだ。
小さな太陽が迫って来ていた。
坂田先輩のものに似ているが、もっと温度の高い火球。
その色は鮮やかな青。
火球の威力を受けない為には、避けてどこかにぶつけさせるか、中心のコアを壊すしかない。
私は当然避けようと後ろを振り向いたが、先程私が作りあげた道は消えていた。
左右を見ると、逃がさないとでも言いたげに、さっきの比じゃないくらい密集したツタが。
浦田先輩に主導権を握らせたのも、ツタの監獄をギリギリ抜け出せるレベルまで装甲を薄くしたのも、
全部この為？
この為のブラフ？はったり？知恵比べに負けた？
…そうだよ確かに私は頭が悪い。
なら、知恵比べで勝てないのなら、腕力勝負は？
向こうの土俵に乗ってやる必要は無い。
私は脳筋だからふっかけられた喧嘩は全部片っ端から購入して向こうの土俵で争ってきたけど…
周りの人がそれではいけないと行動で示してくれた。
無駄に頑固なのは自他ともに認めるところだから口では言わずに行動で示し続けてくれたんだ。
逃げるのは姉らしくない。私らしくない。
理想の自分になりたいのだ。
私は腰に着いた予備ナイフを取り出した。
いつものより軽い感触に心もとなさを感じる。
火球は目の前に。
｢…っぁぁああああああ！！！｣
火球に触れる前にその周辺の熱で産毛が焼け焦げた。
｢ああああああ！！｣
火球に腕を差し込むと表面の皮が焼け消え、脂肪が、筋肉が溶ける。
神経に数千の針を直接刺されたような激痛に、視界が何度も何度も白くフラッシュする。
比喩ではなく痛い本当に血が沸騰し、痛い蒸発痛いする痛い。
もはや、痛い剣を握っている手の感覚はなく、痛い自分がきちんと痛いナイフを掴んでいるのかすら痛い分からない｡
痛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い痛い痛い痛い熱い熱い熱い痛い痛い熱い痛い熱い痛い熱い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い
腕ではなく体全体の筋肉を使い、腕を振り切るとカツン、と固いものにナイフが触れた。
体をねじってそれを壊すと、ほどけるように火球が消える。
見る影もない私の右腕は黒くなり、何か分からない汁が出ていた。
シュー…と煙を上げている腕を見て、前を見た瞬間私の口角が固まる。
目の前に巨大な岩弾が接近していた。
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