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空side
｢あっぶな！あっっぶな！！なに全力投球してんのこっっわ！！｣
私は顔面目掛けて投げられた折れたパイプを、必死の思いで頭を捻って避けた。
まだ生き残っていた方のお下げがふわりと浮き、強引にゴムと数本の髪が引きちぎられる。
微かな痛みを頭皮に感じながら、私は体制を立て直す時間すら惜しく感じ、そのまま走り出した。
｢えー避けるの？｣
｢避けないバカいるの！？分かった君サイコパスでしょ！この変態鬼畜サイコパス野郎！｣
｢はい俺の心が傷付いた慰謝料請求しまーす。とりあえず右目と片方の肺でいいよ。｣
｢スナック感覚で臓器要求すな！｣
｢おい1年！ふざけてねぇで手を動かせ！｣
｢冷雨の攻撃全部受け止めてる後輩に言う言葉ですかそれ！？｣
浦田先輩の声に同じく大声で怒鳴り返す。
緑がかった綺麗な茶髪は乱れており、露出した肌は血や泥で汚れている。
そんな身なりの先輩だけど、相変わらずそのエメラルドグリーンの美しい瞳は依然として光を失っていない。
今冷雨と対峙しているのは私と一ノ瀬会長と浦田先輩のみ。
他の人材は冷雨が召喚した、校舎ほどの大きさの動物3体に当たっている。
この3体がどうにも強く、実質冷雨が4体に分裂したようなものだ。
回復組がついさっき倒れて、今怪我したら後がない状況にも関わらず、冷雨はどこから湧き出ているんだと言いたいレベルで回復魔法を連発している。
それに苛立ちを覚えながら私は大きく蹴りをした。
足首を掴まれ、そのまま凄まじい握力で骨を折られそうになり、慌ててその腕を切り落とす。
私の足を掴んだままの手を遠くの方に投げ飛ばし、冷雨がもう腕を再生しているのを見て舌打ちした。
｢もうヤダお前全然削れないしー！ラスボスが回復禁止なの縄文時代からのお決まりでしょー！？｣
｢最近は違う気がするし、俺はラスボスじゃないよ。｣
ふと冷雨の動きが止まった。
恍惚とした表情を浮かべ、手を頬に当てて体をぶるっと震わせている。
え、なになにキモい。
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