春の世界 ページ13
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｢あの、で、かほ…ちゃんは、オリジナルを持っていないんですか？｣
[あの子は、ダイヤの影響を受けて複数の能力を得られる程度の器はあったけれど、私達を受け入れられる器は無かったからよ。]
それほど私達を受け入れられる器を持つ人間は希少なのよ。とレッドメノウは寂しげに呟いた。
[話は分かったな？じゃあ自分の世界に帰れ。]
イエローカルセドニーが言った。
｢…いや、です。｣
[なに？]
｢私はもうあそこのどこにもいないんです。｣
傷付いた様子の空の顔が頭に浮かぶ。
辛そうに笑うふゆの様子が思い浮かぶ。
苦しそうなかほの声が耳に蘇る。
傷付けてしまった。大好きな友人達を。
私はもう彼らに顔向けできない。無理。
[お前は知っているだろう。冷亜だとかいう餓鬼の凶暴さを。
あれではまるで昔のダイヤみたいだ。]
｢私には関係ありません。｣
するとイエローカルセドニーの顔が赤く染まる。
[お前しか止められないんだぞ？！しょうもない人間なんかの関係云々でぐちぐち喚くな阿呆が！]
｢悩みますよ！私は人間なんです！貴方達みたいに、世界を見れないんです！
いつもいつもいつも、自分と周りの事しか見れないんです！それが精一杯なんですよ！｣
[お前は平凡な人間とは違うだろう！]
｢目だけですよ！非凡なのは！他は普通なんです！些細なことで死にたくなったり、いつまでも悩み続ける人間の子供なんですよ！｣
[じゃあお前は平凡だ！そんな平凡なお前が世界を救えるんだぞ？！]
｢なんで私なんですか！もっと凄い人に頼んで下さいよ！もっと人の役に立ちたいと思ってる人に寄生して下さいよ！私は強くもないし、優しくもないし、狡くて卑怯な人間なんですよ！｣
大事な人を守りきれず、あまつさえ傷付けてしまうような人間だ。
人の事を考えるフリをして、助けるふりをして、そんな優しい自分に酔っているような人間だ。
[少し2人共落ち着きなさい。]
パンっとレッドメノウが手を叩くと、穏やかな風が一瞬だけ激しくなって、私を冷静に戻した。
イエローカルセドニーにあたる風だけ暴風並に強いのは触れちゃいけないと察した。
イエローカルセドニーは？！と目を見開いてレッドメノウを見ているが、レッドメノウはそれをガン無視している。
この一連で2人の関係とレッドメノウの性格が分かった気がする。
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