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観客Aside
次々と紹介される、顔の整った子達。
その子たちは自身の能力を使ったり、色々なことをして場を盛り上げていた。
…だが正直女の子のレベルは”一般の学校のクラスでちょっと可愛い子。”という範疇は出ない。
天下の能力者達の学校もこんなもんか、と上から目線で見ていると、最後の子が出て来たようだった。
…その子が出てきた瞬間、時間が止まった。
ゆるく後ろで一つにまとめられた、スポットライトの光の加減か、ピンク色にキラキラと光る柔らかそうな髪。
桜と金魚がデザインされた濃い藍色の浴衣はその子の白い肌を一層際立たせて。
浴衣の上からでも分かるスタイルの良さ。
ふわっと微笑んだ小さな顔に奇跡的に収まっている大きな紅と金の瞳。
耳まで真っ赤に染まっているのは恥ずかしさからだろうか。
その女はどこまでもたおやかに、どこまでも清らかに、どこまでも可憐に佇んでいた。
彼女…石川 Aは、子猫が歩くような軽い足取りでマイクの前に立ち、大きく息を吸って…
「違う!!」
…え?
彼女に見とれていた者は夢から覚めたようにパチパチと目を瞬く。俺もその1人だ。
予想以上に大きい声が出たのか、彼女は大きな目をパチパチと瞬きさせた。
「えっと…すみません。今大切な友人が悩んでて、で、自己嫌悪に陥っているということを聞いたので思わず…」
耳に優しい、よく通るハスキーボイスに惚れ惚れとする。
隣の女子が口をぽっかりと開けたまま、停止していた。
石川 Aさんに劣るとも勝らないほどの美少女がこうも間抜けな顔をしていると、どうにも親近感が湧いてしまう。
「この学校は意外と誤解されがちですがーとても良い学校ですー。現生徒会長が学校をより良くていてー」
死んだ目+棒読みでつらつらと御託を並べていく彼女。
一切体裁を取り繕おうとしないその姿からは、嫌々言っている事が感じられる。
その子は最後にぺこりと頭を下げ、端に寄った。
ステージ脇からは今まで出て来てた女の子達がぞろぞろとやってき、投票タイムに。
投票は、端末と専用のアプリを入れれば誰でも出来る方式だ。当然俺は右上にいる石川 Aさんをタップし、投票する。
集計の結果は…当然と言えば当然だが、石川 Aさん。
彼女はミスコン優勝者に与えられる小ぶりのティアラと帯をつけて恥ずかしそうに笑っていた。
…これが俺の初恋の話。
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はの - めちゃくちゃ面白いです!更新頑張ってくだせぇ! (2019年3月13日 21時) (レス) id: c35c259743 (このIDを非表示/違反報告)
白鼬(プロフ) - そこの駄作者さん» ほんっとうにすみません…! (2019年2月21日 23時) (レス) id: 41bccf14f4 (このIDを非表示/違反報告)
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