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私はマホトについて行くことしかできず、お互い話しかけることもなく無言で歩き続けた。
そして見えて来た公園。
それは、私たちが再開したあの公園だった。
マ「…懐かしいな」
「…あの日から始まったもんね」
マ「Aは、後悔してねーの?」
「する訳ないじゃん。私、こう見えて図太いんだから」
マ「…俺は、後悔してる。あの日からお前とちゃんと向き合えばよかった。」
「……。」
マ「俺、ずっと嘘ついてた。」
ブランコを揺らしながら、マホトは全てをうちあけようとしていることを悟って私は黙って聞き入れた。
マ「中学の頃、みんなに動画馬鹿にされてたけどAだけは応援してくれて。…まあ見てはもらえなかったけど」
「…ごめん」
マ「だから、夢っつーのは、お前に動画を見てもらうことだった。」
「え…」
マ「見たくなくても見ちゃうよな、そんくらい有名になって、そしたらまた会いに行こうって決めてた。」
「…。」
マ「だけど、あの日、ここで再開して俺は自分の気持ちに負けてAに手出して。」
「…。」
マ「そんな自分が情けなくて、ずっと本当の気持ち言えなかった。」
ふと横を見ると、マホトはいつものマホトとは違って小さく見えて。
顔を手で覆っていたから泣いてることがわかった。
「…もういいよ。…もう我慢してなくていいよ。」
マホトを守りたいと思った。
自分のプライドに潰されてしまいそうな彼を、支えたいと思った。
大きなものを背負っている小さな背中を、私はそっと抱きしめた。
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作者名:Kapo. | 作成日時:2017年7月4日 17時