いざ、屋上へ ページ15
「……ふぅ、危なかったですね。ケータ君、フミちゃん」
「うん……助かったよカラカラさん、コマさん。ありがとう」
「神楽さんも」
一息ついたウィスパーが言うと、
それに頷いたケータが呼び出した妖怪達にお礼を言った。
「どういたしまして。さっきはデリケートな身体を
思いっきりぶつけちゃったし、今日は安静にしてるわ〜」
「な、何かよくわかんねえけども、力になれたなら良かったズラよ……」
「ええ。……後、極楽の術」
カラカラさんは笑いながら、コマさんは疑問符を
飛ばしながらも二人に応えてくれて、その後に姿を消す。
神楽は二人に回復の極楽の術を使い、癒してく
れた。
「神楽さんって術も使えたんだね」
「ええ、昔妖怪達に教えてもらったんです」
それを見送ってから、難しい顔をするケータは首を傾げさせ。
「それにしても、あの妖怪……なんだったの？」
「見たことのない妖怪ですねえ。情報も見つからないようです」
妖怪の世界でも国際化が進んでいるため、
他所から来た妖怪だったのかもしれない。
妖怪パッドを見やりながら、そう話すウィスパー。
「もしかしたら、寂しくて
リョーマ君を連れて来てしまったのかもしれませんね」
「友達が欲しかったのかなあ……」
しきりに遊ぼう、遊ぼうとは言っていたものの
果たしてどうだったのだろうか。
今となっては確かめようもない事だが……。
「……うーん……あれ？ここ、どこ……？」
「ここは男子トイレですよ」
「男子トイレ……？何で俺そんなとこにいんの？」
意識を取り戻したリョーマが声を上げる。
そこが男子トイレと知ると、疑問符を飛ばしまくっている。
「リョーマ君！」
「ケータ……？俺、確か変な声が聞こえて……」
やはり彼も記憶は曖昧だったが、
誰かに呼ばれていたことだけは何となくおぼえているらしい。
しかしケータとフミは何も答えることが出来ず、口を噤んだ。
後、神楽が説明してくれるだろうと考え……。
それに気づかず、我に返ったリョーマは
ようやく思い出したかのようにみんなに問いかけた。
「そう言えば、屋上行かないの？」
「そうだった！！」
「俺達も行こう！」
「そうですね」
幾ら誰も居ないとはいえ、
いつまでも男子トイレに居るわけにもいかない。
素直にリョーマの言葉に頷いた全員は、
男子トイレを出て屋上へと向かって行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：花の巫女 | 作成日時：2018年8月25日 13時
