奇妙な気配 ページ23
ふと、ある一点を見つめて目を見開いた神楽は
険しい顔つきをした。
ケータもフミもそれには気付かない。
ウィスパーも適当に辺りを見回す。
「全く、コマさんは怖がりですねぇ。ほーら何も居ないじゃないですか」
「おかしいズラ……」
他の者達が神楽の見つめていた窓の外を見やった時には、
既にそこは夜の暗闇でしかなかった。
──改めて先へ進みだしたケータ達に続きながら、
神楽はもう一度窓の外を見やる。
「……(今は言わない方が良いでしょう)」
先ほど、彼女自身が言いかけた“妙な気配”の原因がわかった。
今はもう窓の外にその姿は認められないが……
「(……キュウビはアレにケータ達を会わせようと……)」
だとしたら少し厄介かも、と一人、気を引き締めさせた神楽だった。
〜･〜･〜
どうやら、今足で行ける限りの最上階にまでやってきたようだ。
一体キュウビはどこで待っているのかと、辺りを歩き回り
部屋の一角にあった屋上へと続く道を見つけると
その向こう側に金色の毛並みが認められた。
「あっ、居た！！」
ようやく見つけた、と言わんばかりに声を上げて
屋上へと駆け出して行くケータ。
フミ達もそれに続き、そこで待っていたキュウビの姿を見上げる。
「み、見つけたズラ！」
「……これはこれは、弱虫で泣き虫のコマさんじゃありませんか。
それにそっちのボウヤ達。彼をエスコートしてあげたのかい？」
からかうようにして笑うキュウビの視線は、
コマさんからケータとフミの元へと移された。
「何にしても、ここまでよく来たねェ。褒めてあげるよ。
……そう言えば、僕に何か用があったんだっけ？」
「……なんで、桜町フラワーロードの人達を怖がらせるの？
タタリなんて良くないよ」
このまま事件が続くようでは、皆が困ってしまう。
眉を寄せながらそう言い放ったケータに対し、
キュウビは肩を竦めさせながら首を横に振り、溜息を吐く。
「失礼だねェ……これだからお子様は困るよ。
何が起きてるのかも解らないくせに、笑っちゃうよねェ」
「…………？」
「折角、この僕がその悪者の住処に案内してやったのにさァ！」
高らかに言ったキュウビが両腕を広げた次の瞬間、
ここへ来るまでに起こったのと同じ地響きが起こった。
それは一定の間隔をもって、段々と大きくなって……
まるでこちらに近づいてくるようだ。
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花の巫女(プロフ) - 寝高麗☆とらじろーさん» コメントありがとうございます！ケータといつも一緒にいるのがジバニャンなので、有りです。 (2018年8月12日 17時) (
レス) id: a6d70f2405 (このIDを非表示/違反報告)
寝高麗☆とらじろー - フミちゃんの妖怪、コマさんはどうですか？ ←パートナー説があるので。 (2018年8月12日 15時) (携帯から) (レス) id: e5ef8f5494 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花の巫女 | 作成日時：2018年7月30日 21時
