第70話 ページ24
『でも、俺は
重要な事を忘れとった』
「重要な事?」
『そう。
彼女の後を追おうとした 智洋を
助けたい一心で
焦ってて 忘れてまった』
淳太さんは
重たそうに 口を開く
『実は、
人間が吸血鬼になると
血を吸われた 吸血鬼の事は忘れへんけど
大切だった人の記憶 は
全部 失くしてしまうんよ』
「じゃあ、ともは…」
『智洋は、
彼女のことも、家族のことも
覚えてないねん』
『でも、言えへんかった
あいつ、
淳太くんは命の恩人ですって
真っ直ぐな目で、言うてくるから』
「じゃあ、
ともは 記憶を失くしたまま、
っていう事ですか?」
『そういう事になるな。』
しばらく沈黙が続いて
それを破ったのは、淳太さんだった
『智洋の
過去の話は、終わり。』
あっという間に 日が沈んで
気がつけば辺りは暗くなっていた
『もう暗いな。夜か
Aちゃんの家まで送ってくわ。』
夜空には 綺麗な星が
いくつも 光っていて
怖いくらいに煌めく月が
優しく街を包み込んでる
「私はひとりで大丈夫ですから、」
そんな私を無視して
" 行くで "
そう言いながら、歩き出す
暫く 夜道を歩いて
家のすぐ近くに来たとき
淳太さんが 足を止める
『あと
これは忠告やけど
Aちゃん、気をつけた方がええで。』
「え、何がですか?」
『なんか、
嫌な予感がしてんねん』
「私が…?」
『おん』
" あの "
そう言って見上げると
ん?と少しだけ目を見開いて
私を見下ろす
「それって、
ともが関係してることですか?」
淳太さんは
腕を組んで考え込む
『智洋は、
関係ないような気がする』
『まあ信じるか信じないかは
自由やけど』
家の前まで来て
鞄から鍵を取り出したとき
『じゃ、またな。』
淳太さんは
そう言って ひらひらと手を振る
「ありがとうございました。」
私がそう言うと
また 軽く笑って
その後ろ姿は
夜の闇に 消えて行った
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ホッとココア(プロフ) - 漣さん» 漣さん、コメントありがとうございます。とても嬉しいです(;_;)これからも頑張ります。応援してくださり、本当にありがとうございます(;_;)これからも読んでくださると嬉しいです! (2018年1月6日 14時) (レス) id: 03aab38a7b (このIDを非表示/違反報告)
漣(プロフ) - いつも楽しみに読ませていただいてます!評価を1回しか押せないのが歯痒いくらい素敵な作品で、続きまだかなーなんてそわそわしてます笑これからも応援してます! (2018年1月4日 23時) (レス) id: 5c30d3d3e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ホッとココア | 作成日時:2017年11月12日 21時