第235話 ページ43
「しげっ！」
そう叫ぶと、
綺麗な横顔が、振り向いた
「私、しげのこと
絶対に忘れない！」
涙が溢れて苦しくなる
そんな私を見て
しげは、泣き顔のまま
優しく笑った
『俺も、絶対に
Aのこと 忘れへんから！』
よく通る、掠れた声が
冬の殺風景に、暖かく響きわたる
『またな！』
そう言って、
涙を浮かべたままの
とびっきりの無邪気な笑顔を 見せてから
しげは、私に向かって手を振った
私は、こぼれた涙が止まらないまま
しげの " またな " という言葉に
必死に頷いた
そして、
しげは 振り向かずに 走り出した
しげを乗せたトラックが
遠くへと、しげを連れ去って行った
いま、私の手から
しげの温かさは、消えて無くなっていた
掠れた声も、大きな影も
あの笑顔も、優しさも
綺麗な目も、横顔も
ぜんぶが、
この街から無くなってしまった
トラックが、
本当に小さくなって 見えなくなるまで
ただ、ずっと見つめていた
しげが居なくなった後の街は
しん、と静まり返って
ただ、冷えてるだけ
しげの、ぬくもりさえも
もう、残っていない
ひとりで歩く帰り道
また、涙が溢れてくる
涙がこぼれないように
空を見上げて歩く
まだ、しげの笑顔は
私の頭に残ってて
目を閉じれば、しげの笑顔が浮かんでくる
ふと、足元をみれば
傷だらけのローファー。
走り慣れないローファーで
走ったせいか、
脚がくたくたに疲れて、痛い
あの時の、涙と
" 幸せに、なれよ "
しげが言った、この言葉が
苦しいくらいに、胸に突き刺さる
冷えた北風を頬に受けながら
まだ痛む足で、
流れる涙を、乱暴に拭って
家に向かって走った
…しげが、居なくなってしまった後
時間は、哀しいくらいに
ゆっくりと進んでいった
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ホッとココア(プロフ) - まなさん» まなさん、ありがとうございます！(;_;)そんな風に言っていただけたのは初めてなので本当に嬉しいです…！！(;_;)幸せです！(;_;)本当にありがとうございます！！(;_;)これからも頑張ります！！ (2017年6月11日 19時) (
レス) id: ea9e8bfa14 (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - ホッとココアさん» ホッとココアさんの文章の世界観や登場人物のキャラクターがすごく大好きです！これからも応援してます！ (2017年6月11日 18時) (レス) id: a5a8ad6bb7 (このIDを非表示/違反報告)
ホッとココア(プロフ) - あんずさん» あんずさん、ありがとうございます！！(;_;)キュンキュンしていただけて、本当に嬉しいです…！！続編書きます！！本当にありがとうございます(;_;)！ (2017年6月11日 18時) (レス) id: ea9e8bfa14 (このIDを非表示/違反報告)
ホッとココア(プロフ) - はちさん» はちさん、ありがとうございます！(;_;)続編書きます！！本当にありがとうございます(;_;)！！ (2017年6月11日 18時) (レス) id: ea9e8bfa14 (このIDを非表示/違反報告)
ホッとココア(プロフ) - まなさん» まなさん、ありがとうございます！！(;_;)深く読んでくださり、本当に嬉しいです…！(;_;)続編書きます！！本当にありがとうございます！(;_;) (2017年6月11日 18時) (レス) id: ea9e8bfa14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ホッとココア | 作成日時：2017年5月7日 21時
