たった一人の君へ 。

佐野文哉 ページ19

翌朝






［へえ、不思議な男子？］



友達は私の机に頬杖を付きながら

目をきらきら輝かせる





「うん、

なんか 頭から離れなくて」





昨日の出来事を 友達に話してると

彼女は 何かに気付いたように


あれ？と呟いた





「え？」




［その男子、中庭にいたんだよね？］

「うん、」



［イケメンだった？］

「うん、綺麗な顔だったけど」




［もしかして、この子？］





友達が見せてきた

携帯の画面に写ってたのは


友達と仲良さそうにピースをしてる

昨日見た、あの男子だった





「あ、その人！

なんで分かったの？凄いね」





なんて感心してると

背中を思いっきり叩かれた





「痛っ、何？」



［A凄いじゃん！

この子佐野くんだよ］


「え？」





頭の中は ？でいっぱい





「どういう事？」



［だから、この子が

Aの事を好きな男子なの］




「え、？」






昨日会った あの男子が

私の事を好き…？


いや、無い無い





「嘘でしょ」





［本当だって。


佐野くんにAの話すると

すぐ顔赤くなるんだって］





それを聞いて

なんだか私まで熱くなる





［私もしっかりサポートするから。

楽しみだね、これから］



なんて言いながら

私の肩に手を回して友達の声を聞き流しながら





ただ呆然としながら

鳴り響くチャイムと共に


席についた







結局、昨日の出来事も

彼の姿も


ずっと頭の中に残ったまま。

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