たった一人の君へ 。

木全翔也 ページ1

「ねえ翔也」



『ん？』







「私のこと 好き？」








なんて言うと




" またそれかよ " って

ちょっと面倒くさそうに笑う彼は



本当に私のことを好きなんだろうか








いつもあんまり表情を崩さないし

好き、なんて言葉もまず言わない。



彼は私のことどう思ってるのかな









翔也に歩み寄り、

目の前まで来た時





彼の涼しげな目が

伏し目がちに私を見下ろしたので


私も負けじと、彼を見上げる







何？と

少しだけ首を傾げる彼








そんな彼に

思いっきり抱き着いた








いつも通りされるがまま

何の反応も無し、抱きしめ返さない。



私を包み込んでくれるのは

彼の香水の匂いだけ。








でも私はそれに慣れてたから







「とりあえず翔也不足は解消された」





そう言って

さっと離れようとした


その時だった









グイッ








「えっ…」

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