行方.2 ページ27
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２人を乗せた絨毯は、エイブの指示に従い、例の廃墟まで飛んできた。
しかし、中は既にもぬけの殻で、エイブは頭をポリポリとかいた。ジャミルはAの名を呼んだが、その声は虚しくも埃っぽい部屋の中に消えてゆくだけで、彼女の返事が返ってくることはなかった。
ジャミルの不安は募るばかりだった。
(……もしもAがイカれた奴らの餌食にされていたら……)
ジャミルは、男達の汚らわしい手がAの身体に触れている様を想像し、はらわたが煮えくり返りそうな気分になった。
それだけではない。
もしもAが傷モノにされていたら。
もしもAが揺すられていたら。
もしもAの命が危険にさらされていたら───
ジャミルは、心臓が早鐘を打つのを感じた。もはや吐き気すら催し、呼吸も荒くなった。
ジャミルはエイブを肩に乗せると、絨毯に乗って、今度はアバブワ劇場の屋根裏部屋に向かった。
劇場にたどり着いたジャミルは、いつもと同じように窓から中を覗くが、部屋は相変わらず殺風景なままだった。
ジャミルの心臓の音は大きくなるばかりで、耳の奥まで脈打っているかのような感覚を覚えた。
この広い熱砂の国で、行方知れずの少女をひとり見つけるなどほぼ不可能に近い。絶望したジャミルは、目を瞑って窓に額をくっつけた。
「A……」
ジャミルが今にも消えそうな声で彼女の名を口にしたその時、部屋の中で何かがぼんやりと光り始めた。それに気付いたエイブは、ジャミルの頬を叩き、異変を知らせた。
顔を上げたジャミルは驚きが隠せなかった。
光の正体は、小さな魔法石だったのだ。
ぼんやりと光っていたそれは、やがて一筋の光となり、磁石のように１つの方角を強く差していた。
一部始終を見ていたエイブは口をあんぐりと開けた。ジャミルは優しく微笑むと、語りかけるように呟く。
「……ありがとうございます。
───Aは、お二人のプリンセスは、俺が必ず助けます」
それだけ言うと、ジャミルは絨毯にその方角へ飛んでいくよう命令した。
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南瓜(プロフ) - バレーボールさん» ありがとうございます！！そんな風に言って頂けて本当に嬉しい限りです……！皆さまのおかげで星も赤くして頂けたので、いつかそのお礼も兼ねて番外編を書こうかなと思っています！少し時間がかかってしまうと思いますが、気長にお待ち頂けると幸いです！ (2022年4月1日 19時) (
レス) id: 8227ed20e2 (このIDを非表示/違反報告)
バレーボール - 一番いい形で完結していると心の中では思っているのに・・・・・・すっっっっっっごいその後の続きが気になってしまった・・・・・・。とても面白かったです！ジャミル最推しなのでこの作品に出会えて光栄です！ありがとうございました‼️ (2022年4月1日 9時) (レス) @page36 id: d448fd1791 (このIDを非表示/違反報告)
南瓜(プロフ) - 凌雲さん» コメントありがとうございます！！応援もすごく励みになります！サイコーだなんて言って頂いて、もう本当に嬉しい限りです！(≧∇≦)現在書かせて頂いているシルバーくんの作品もありますので、もしよければそちらも目を通して頂ければと思います！！ (2021年7月23日 23時) (レス) id: 8227ed20e2 (このIDを非表示/違反報告)
凌雲(プロフ) - 完結後にすみません。とっっっっっってもサイコーなお話でした！ジャミルくんかっこよかったです………これからも応援してます！！ (2021年7月22日 14時) (レス) id: 080dfab701 (このIDを非表示/違反報告)
南瓜(プロフ) - 魔朝@Bscさん» お気遣いありがとうございます！シルバーくん美人すぎますよね……次作もなるべくご期待に添えられるよう頑張りますね！ (2021年6月23日 10時) (レス) id: 8227ed20e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：南瓜 | 作成日時：2021年5月31日 17時
