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第二話 思い ページ2

静かな廊下に私の足音が響く。

私、兎村 乃咲(とむら のざき)は病院に来ていた。

幼馴染に会うために。

少し深呼吸しよう。

大丈夫。しっかり話せる。

"遠藤 修(えんどう しゅう)"と書かれたプレートのドアの前で立ち止まる。

そして

「おはよう。修」

と言ってドアを開けた。

「おはよう乃咲」

修は笑顔をこちらに向けた。すると栗色の猫毛が揺れる。

優しい笑顔。

それは病室に入り込むあたたかい光でよりいっそう明るく見える。

カッコイイなぁ。
って、そんなことじゃなくて!

「修、今日は話があるの」

「なに?」

幸せそうにこっちを向く彼を見るとやっぱり行きたくなくなっちゃう。

でも、もうどうにでもできない。

「私、仕事の都合で東京に行かなきゃならないの」

「そっか」

修は悲しそうにつぶやいた。
私も悲しいし、寂しいわ。

「ほら、桜が綺麗だよ」

その衝突な言葉に顔を上げる。

たしかに、少しずつ咲き始めた桜は美しかった。

気持ちが少し晴れた気がする。

これが目的だったのかしら?

「頑張ってね」

修はいつものように微笑む。

きっとまた会えるわ。

「うん。修もしっかり」

車窓から、外の景色を眺めていた。

修は小学校から仲良くしていた男の子だ。

いつも貧血気味で、よく学校を休んでいた。

友達は……私くらいかしら?

大人になってもいえが近くてよく会っていた。

このまま幸せが続くと思っていたのに。

人生はそんなに甘くない。

修が貧血をこじらせ、急性心不全になってしまったのだ。

心不全は、心臓がうまく動かなくなって、呼吸とかが苦しくなること。
修はそのせいで日常生活が困難になって、十日前入院した。

いついなくなるかわからない。

だからずっとそばにいたかった。
仕事で無理になったけど。

最後、"しっかり"の後には言いたいことがあった。

―――生きて

ただ、それが一番困難なことは修が一番わかっているから。
どうなるのか、怖いに決まってるから。

辛くならないよう、言わなかった。

「こんなに心配するの、修だけよ」

やっぱり私、修のこと……。

第三話 家→←第一話 生きる


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設定タグ:オリジナル , 死ネタ , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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梅雨風夏(プロフ) - nano_@さん» 了解です! (2018年2月5日 23時) (レス) id: 306f9f397d (このIDを非表示/違反報告)
nano_@(プロフ) - 完結おめでとう!!もといちごです。前の消しちゃったのでこっちでよろしくです! (2018年2月5日 22時) (レス) id: 6118924ca7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:梅雨風 夏 | 作成日時:2017年6月3日 15時

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