50時間目 ページ50
「おい待てって、彼女ら！！」
声の主は帽子を被っている少年だ。
目線が明らかに渚にチラチラと向いているので気があるのだろう。
可哀想に、渚は男だ。
「大サービスだ！俺の十八番のダンスを見せてやるよっ」
正直に言おう。下手だ。
みすぼらしいのを見せられても困る。
「では、私と勝負をしませんか？」
「勝負？」
「ええ。どちらが彼女たちを魅了させられるか･･･どうです？」
少年は鼻で笑ったあと、「いいだろう」といって再びダンスを再開する。
･･･甘っちょろい。
そんなんじゃ、女どころか、男すら魅了できないよ。
「失礼、上着を預かって貰っても？」
「え、はい」
丁度隣に立っていた速水にジャケットを預ける。
「では、見ていて下さい。レディ？」
そう言って僕はダンスを始める。
･･･まあパフォーマンスも出来て置くのもひとつの技術だからね。
彼女たちの目線だけではなく、周りに女性が集まってきて、多くの視線を浴びる。
一通り踊り終えると、歓声が沸く。
･･･決まった。
多分これが変装じゃなかったらどや顔していたな、うん。
「〜っ！」
悔しかったのか、隣にいた少年も僕のダンスが終わった後に踊り出す。
待て、後ろに腕を振り上げたら･･･！
ガシャンッと音が鳴り響く。
そこに居たのはサングラスをかけて、金色に染めた髪･･･。
いかにもヤクザですって感じの男性が。
少年は勿論、男性の威圧に怯えている訳で。
助けてやるか、と思いながら固まっている速水の腕から預かって貰っていたジャケットを羽織っていると･･･。
「すみません、ヤクザさん」
岡野が話しかけていた。
･･･余裕そうな顔している。手を出さなくても大丈夫かな。
男性が岡野に返事をした後＿＿＿
「･･･おお〜」
小さい声で歓声をあげる。
岡野が男性の顎を蹴り上げたのだ。いい音したなぁ。
女子達はせっせと動いている。働く女はいいね〜。
僕は渚と少年に近づく。
「怪我はないかい？」
「だ、大丈夫です･･･」
「そうかい？なら、いいんだけど･･･」
女子達が僕にお礼を言いながら去って行く。
僕は手を振りながら見送ったあと、出口に向かって歩いて行くと･･･。
「あっ、凜さん！？」
前にいた不破と･･･。
外に残りのE組･･･、男子の皆さんがそこには居た。
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男装の夢主の性格のイメージは、トリプルフェイスの彼です。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
