45時間目 ページ45
僕が答えたことに驚いたのか、渚が僕を驚いた目で見つめる。
「Aさん、会ったことあるの？」
「･･･あるよ」
「どんな人なの？」
渚が僕に詰め寄る。
･･･そりゃあそうだよね。
そんな恐ろしい人になんて出会ったら何されるかわかんないもんね？
でも安心しなよ、君たちを殺したりなんて“絶対”しないから。
「･･･さあね。昔に会ったぐらいだから、殆ど覚えていないよ」
「そ、そっか･･･」
それよりも、こんな事訊くなんて･･･。興味があるって言っているのと同じじゃないか。
「Aさんと死神、どっちがすごいの？」
「僕があの人にかなうわけがない。あの人と比べたら、僕なんてそこらにいる蟻さ」
そう。僕なんてそこらの蟻に･･･いや、それ以下だ。
それくらいにあの人は強くて、美しくて＿＿＿
・
「お前も行くのか。あのリゾートに」
「その日は依頼が入っていてね。あの暗殺には僕は参加しない」
ロヴロと共に彼らの訓練を見守る。
「先程、お前は死神に到底及ばないって言っていたが･･･。“第二の死神”と呼ばれているのは事実だろう」
「･･･僕なんかが、あの人の代わりになんて、なれないよ」
さて、そろそろ時間だな。
「ではロヴロ。依頼があるから、僕は帰らせて貰うよ」
「そうか」
「久しぶりに会えて嬉しかったよ。それじゃ」
僕はその場から瞬時に、校舎の屋根の上に移動する。
一度、グラウンドで訓練している生徒達を見る。
「･･･随分と逞しくなったじゃないか」
そう言い残して。
・
「Aさんも暗殺者ですよね？」
「そうだな」
「ビッチ先生とはどう違うんですか？」
生徒達がロヴロとイリーナにAについて問う。
「(人1)が暗殺の為に会得したものは多いわ。(人1)がもっていた一般教養全ての学習過程の知識を持っているという証･･･、証明書を持っているのがひとつの例ね。私はそんなもの会得してないもの」
「イリーナはハニートラップを主流としているが、レオンはハニートラップを主流とはしていない。大体が正面突破だな」
「でもそれじゃあ、すぐにばれてしまうんじゃ･･･？」
イリーナとロヴロの話を訊いて、誰かが問う。
「ああ、気づかれて返り討ちに遭うのがオチだ。“普通”ならな。でも、それを現実にさせないのが
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
