42時間目 ページ42
「あ、(人1)。いらっしゃい」
「ああ。それで、どうなっているんだい？」
僕は反物質を投与したマウスが入った透明の籠を見る。
「投与した反物質を吸収だけでは元の身体には戻らないみたい。体内で生成出来るようになってるみたい」
「やっぱり反物質を体内で分解させるものを作った方がいいのか･･･？」
籠に手を付けると、閉じ込められたマウスは僕の手に反応して近寄ってくる。
「反物質を分解する物質、ね。それを作ってみるか」
「できる？」
「俺を誰だと思ってるの？そんなの二日でつくってあげるよ」
「頼んだよ、ラファエル」
あの研究の生き残りで、僕の事も耳に入れているはずなのに、此奴は僕に協力してくれた。
二年程の付き合いなのに、人が良すぎる。
本当に闇社会を生きてきた人物なのか疑う。
「あ、久しぶりにこっちに来たんだし、メンテナンスしよっか」
「そうだな、頼む」
流石に作って貰った薬の投与だけでは
何てものを作ってくれたんだ、
「まだ薬は残ってる？そろそろ新しい薬用意しようか？」
「じゃあ、二ヶ月分を頼む」
「りょーかい」
はい、終わり！といって僕の背中を叩くラファエル。
いつも思うけど、作業早いな･･･。
メンテナンスってそんなに早く終わるものなのか･･･？
「(人1)は薬をちゃんと毎日投与しているみたいだから、メンテナンスが楽に出来るよ」
「な、何で･･･」
「顔に出てる」
ニコッと効果音がつきそうな勢いで、ラファエルは微笑む。
此奴、いちいち行動があざといんだよ･･･。
「じゃあ薬持ってくるから待っててね」
「ああ」
ラファエルが薬を持って戻ってくるのを待っている間、依頼が入っていないか確認する。
お、はいってたや。
十分前･･･。と言うことは僕がここに向かっている時に入ったのか。
「ラファエル、依頼が入っていたからここでかける。物音立てるなよ」
「はあーい」
了承を得たし、通話を開始する。
「･･･合言葉を」
「＿＿＿＿」
この声･･･、何処かで･･･？
「こんばんは。私、レオンと申します。今回は」
「依頼だよ、依頼･･･！」
僕の言葉を遮るとは･･･。
でも、それほど焦っているのか･･･？
いやでも、この声は間違いなく＿＿＿
鷹岡明だろ？
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
