32時間目 ページ32
「テスト前にもいったけど、僕は依頼が入っているからそのリゾートに行くことは出来ない。その権利は僕の次の人･･･各教科学年二位の人に譲ります」
だから･･･磯貝と奥田にその権利を。
僕はターゲットから目を離さず言う。
「･･･分かりました。貴方の意思は固そうですので、その願いを受け入れましょう」
「と言うことは･･･、合計七本？」
「そうなりますねぇ。･･･いや七本でも不味い事に変わりないんですけど！？」
ターゲットが何か言っているが、僕関係ないし。
「本当に行かないの？リゾート」
「依頼だから行けないって言っただろ」
赤羽が僕に尋ねてくる。
それ今日で何回聞かれたかな･･･。
「俺、Aとリゾート満喫したかったな？」
「ねぇ急に彼女みたいな台詞言わないでくれる？」
何があったんだ、何が。
「おやおや〜？もしかして、カルマ君とAさんは付き合って」
「ないけど？」
僕が渾身の殺気を出すと、ターゲットは大人しくなった。
「と、言うより僕の隣にいていい人は･･･、“あの人”だけだ」
「あの人？」
潮田が僕の言葉に反応する。
「そう。あの人だけ。･･･僕が唯一心を許している、あの人だけだ」
そう言って僕はターゲットを見る。
「Aさんにはそう言う人がいるんですね」
「そう。だから、その手に持っているメモ帳に僕とカルマの名前を書かないでね」
赤羽の方から何か声が聞こえた気がしたが、面倒なので聞こえなかったことにする。
「分かりました･･･にゅや！？今、カルマ君のこと･･･！」
「さあ、何のことかな」
そう言って僕は既にまとめ終わっていた荷物を持って、皆に背を向ける。
「じゃ、そういうことで」
「いやいやAさん！？まだ授業は終わっていな」
「さよーなら、ターゲット」
そう言って僕は教室を出た。
・
「ヌルフフフ。カルマ君、何かとは言いませんが赤いですよ」
「うるさい。不意打ちはずるい･･･」
「これはAさんに脈ありですね、カルマ君！！」
「赤面姿のカルマはレアだな！」
「カルマの、んな姿見れるなんてさいっこうだな！」
「寺坂、後でしばく」
「なんで俺だけ！？」
＿＿＿彼女が去った後の教室は、こんなに盛り上がっていたことを少女は知らない。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
