14時間目 ページ14
引きつった笑みを浮かべて寺坂は、赤羽に向けて焦りを含んだ声で言葉を続ける。
「みんなが流されていったのも、全部奴らが悪」
その言葉の続きを聞くことは無かった。
何故なら･･･。
「おおぉ。いい音」
赤羽が寺坂の顔に拳を入れたのだ。
赤羽は喧嘩慣れしているね。
寺坂に言葉を放った後、赤羽は水が流れていった方向へ走っていった。
「･･･どうするの？」
「俺は･･･っ、俺は･･･！」
僕は倒れた寺坂の目線に合わせてしゃがむ。
「反省しているなら、追いかけたら？」
「でも、俺は･･･」
「思っていることをありのままに言えばいい。･･･君はまだやり直せる。」
そう言って僕はその場から去った。
そろそろ合流してないと面倒な奴に怪しまれるからね。
それに、ターゲットには“報告”することがあるんだから･･･。
・
シロがイトナを呼ぶ声が聞こえる。
「あちゃ〜。失敗しちゃったか〜」
まあ分かってたけど。
･･･視線を感じる。
ハイハイ、分かったよ。
カチャッと物の音が小さく鳴る。
引き金を迷い無く引く。
＿＿＿パンッと銃声が鳴り響いた。
お陰で注目を浴びる僕。
「･･･撤退だイトナ」
「･･･っ」
静まりかえった空間に僕の声が響く。
イトナはシロの近くに飛んで移動する。
シロは動くこと無く、僕を見ている。
･･･降りてこい、ってことね。
「先に行け。後で追いつく」
僕がそう言うと、シロとイトナは歩き出し、森の奥へと消えた。
「さて、っと･･･」
僕の方を見て警戒するE組。
･･･今のターゲットは弱っている。
殺れる確率はかなり高い。
「そんなに警戒しないでよ。殺しはしないから」
そういって僕は岩の上に着地する。つまり赤羽の隣だ。
だってぬれたくないんだもん
「お久しぶり、ターゲット」
「暗殺者、レオンさんですね」
「うん。レオンだよ」
ターゲットったらすごい水分吸っちゃって。梅雨の時より酷いねぇ。
「何しに来たの」
「何、報告することがあるからきたのさ」
赤羽が僕を見上げながら尋ねられたので、ちゃんと答えてあげた。
「報告すること、ですか？」
「うん。･･･この度、暗殺者レオンは＿＿＿」
・
・
・
＿＿＿E組へ配属されることになりました。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
