12時間目 ページ12
7月
先月から思っていたことだが、正体がばれない様にするためとはいえ、マントを着用していると空気が籠もるのですごく暑い。
まあ、相手に心を読まれないようにするために表情は基本無表情だけど･･･
「･･･暑い。マジ暑い」
つい若者言葉が出てしまった。･･･いやまだ15歳だから使っても違和感ないでしょ、うん。
暗殺対象が未成年が多い場所に現れるから、一応学習したんだけど･･･中々使いやすい。
「何か聞こえませんでしたか？」
「え？」
「『暑い。マジ暑い』って聞こえたんですが･･･」
「それは皆言ってるよ？」
「いや、上から聞こえたので」
「あはは、殺せんせー、遂に動物の言葉が分かるようになったんだ〜」
･･･危ない。
今僕は裏山にいる。
ターゲット含むE組の皆さんは裏山を歩いているのを木の上から観察している。
ターゲットには僕の心情が吐き出された呟きが聞こえたらしい。
それに反応したのはターゲットの近くを歩いている潮田渚と茅野カエデと赤羽業である。
「･･･涼しい生地のマントを買おう」
そう呟いて僕は彼らが向かう目的地に一足先に着くためにその場を移動した。
「･･･動物じゃなくて、暗殺者、か」
「何か言ったカルマくん？」
「いーや？何にも？」
・
彼らが到着したのは僕が着いてから5分ほど経った頃だった。
ターゲットが制作に一日、水を張るのに〜と何か言っているが興味が無いので聞いていない。
生徒達がひゃっほーい！とでも言ってそうな勢いでダイブしている。
･･･生徒達が泳いでいるこの場所、どうやらターゲットが作ったらしい。
「･･･そうだった。彼奴に渡す物があったんだ」
この場で目立つ制服姿をした彼を見て、思い出す。
丁度この場を離れようとしていたので、僕も彼を追いかけるためにこの場を離れた。
・
「寺坂」
「･･･あんたか、レオン」
用があった人物･･･寺坂竜馬の目の前に降りる。
「これを」
「あぁ？･･･んだこれ」
「ターゲットの粘液を放出させるスプレーだ。シロが渡し忘れていたようでな、届に来た」
僕は渡す物を寺坂に投げる。
何故重要な役割のある物を渡し忘れるかな･･･。
「決行日は分かっているな」
「わかってるよ」
「ならいい」
そういって僕はこの場を離れた。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
