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『お兄さん?』
「‥うん」
家族のことを紫耀くんに話したことがなかったから
私に兄がいたことにも驚いている様子
「でも、血は繋がってないけどね」
『え?』
「私、ちっちゃい時に交通事故で両親を亡くしたみたいで」
「‥施設で育てられたんだけど、預かられた家族からも大切にしてもらったのは半年ぐらい」
「それからはその家族にも子供ができて、もともといた兄もいて」
「私は赤の他人扱い。」
こんなこと、親友以外に話したことなかった
‥久しぶりにこの話をした私は
いつになってもやっぱり忘れられない過去
『‥』
紫耀くんは黙ったままだった
「だから私、高校生から3年間アルバイトしてお金貯めて‥」
「家族と縁切って、上京してきたの‥」
こんなことで、泣いちゃダメだ。
無意識に歯を食いしばって
涙を堪える
すると、隣に座っていた紫耀くんが
優しく抱きしめてくれた
『‥もう、1人で抱え込まないでいい』
『今はもう、俺がいるから』
.
『もっと、俺に分けて』
「‥え?」
紫耀くんの言葉の意味がわからなくて
聞き返すと紫耀くんの力が強くなって
もっともっときつく抱きしめられたのがわかった
『めっちゃくちゃ嬉しいことも』
『めっちゃくちゃ悲しいことも』
『ぜんぶ、俺に分けてほしい』
紫耀くんが泣くのを我慢しているのがわかった
『そしたら、悲しいことは半分になるし』
『嬉しいことは2倍になるから』
私の肩に顔を乗せていたのをやめて
私と目を合わせた
紅く、涙が溜まっていた
『俺と、幸せになろう』
『俺が、幸せにするから』
.
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kaho888(プロフ) - maho*さん» そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2019年3月8日 0時) (レス) id: 2b211e65eb (このIDを非表示/違反報告)
maho*(プロフ) - このお話大好きで一気に読んじゃいました!これからもお話楽しみにしています。 (2019年3月5日 12時) (レス) id: 84e5e364a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaho888 | 作成日時:2019年3月5日 1時