私の役割 ページ6
「うん。君には人探しをして欲しいんだ」
人探し…余計に分からなくなった。絵が描ける＝人探しに有利…？しっくりとこないな。
じっと司さんの言葉を待つ。
「俺を復活させた、千空という男を探して欲しい。…俺がこの手で殺めた、世界一頭の切れる男だ」
んん？
いきなり物騒なワードが出てきた。今きっと[なぜ私が復活したのか]のはっきりとした答えが出てきたんだろうけども、それでもわからない私はもしかしたら石化中に脳みそが小さくなったのだろうか。
聞けば聞くほど分からなくなっている気がする。
だって普通に考えて意味がわからない。殺めた人間を探す？？遺体をってこと？それならわかるけど、そんな感じでもなさそうだ。
私の頭の上に出ていそうなはてなマークを見兼ねて追加説明が入る。
「千空という男はさっき言った通り本当に頭が切れる男なんだ。もしかしたらまだどこかで生きているかもしれない。念のため、探して欲しいんだ。本当に死んでいるのなら良いんだけどね」
なるほど。つまりは遺体確認と似たようなこと。生存確認の方が近いかもしれないが。
「捜索は別の専門家を探そうと思っているから心配しなくていい。君には千空の様子を描いて欲しいんだ。千空が生きているなら千空が生活していたところの環境や地形を絵を通して伝えてくれ。うん、言葉だけじゃやっぱり限界ってもんがある。視覚化できるのならその方が良いんだ」
ここで私は自分の役割を完全に理解した。要するに千空さんが生きていたらそこの絵を描いてくる。ということ。意外とシンプルだな。
ちゃんと役割があって良かった。しかも無理そうでもない。ひとまず安心だ。
『何か描くうえでリクエストみたいな…ありますか？』
「そうだね…うん。いずれ千空とは戦うことになるだろう。攻め込むことを考慮して描いてほしい。それ以外は特にないよ。好きに描いてくれたらいい」
あれ、今すっごく難しいことを頼まれた気がする。セメコムコトヲコウリョシテ…セメコム…せめこむ…攻め込む…？
日常生活で一般女性が使わないワードベスト20には入ってそうな言葉をさらりと言われてしまった。
そんなに簡単なことのように言われても、普段そんなこと考えたこともない。
これで全て言い切った、大丈夫だろうみたいな雰囲気を出している司さんに、こちとら日本生まれ日本育ちの一般JKなんだけど！と切れたくなるのもおかしなことではないはずだ。
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作者名：ハント | 作成日時：2023年3月16日 8時
