司帝国初到着日 ページ4
歩きながら色々なことを教えてもらった。
ここは3700年後の日本
石化は解除できる
目の前の男性はあの獅子王司で、彼は帝国を作り率いていること
私はその司さんの帝国で住ませてもらえる
などなど、他にも色々お話ししたが大まかにはこれくらいだろう。
そして、今私は司帝国に向かっている。
私の目の前にテレビに出ているような有名人がいることがそもそもおかしいのだが、それ以上におかしなことが起きすぎていて感動する気にも驚く気にもなれない。
…わずか数分でよくここまで強いメンタルを手に入れたものだ。人間の適応力というのは意外に高いのかもしれない、と変なところに感心する。
まだまだ分からないところや違和感を覚えているところもある。
でもとりあえず、起きた瞬間デッドエンドとかじゃなくてよかった。大袈裟でなくこんな文明が発達していないところに何もなしで起きたら生きていける気がしない。全然命を落とす可能性だってある。
こんな世界で生きることになった私の数少ない幸運かもしれない。
前向きにいこう。うんうんそれが良い、と自分をなんとか励ます。
(まあまず、この人には感謝だなぁ)
少し前を歩くとても同い年とは思えない人を軽く見上げる。司さんがいなかったら腕が折れたりして復活無理、なんてこともあったわけだ。
(出来るだけこの人の要望は叶えよう。借りを返すつもりで)
恩をあだで返すようなことはしたくはない。役に立とう。と、心に決めたところで司さんの声が聞こえた。
「ついたよ」
すっと顔を上げると、そこにはよく言えば健康体を手に入れられそうな、悪く言えば原始的な集落が広がっていた。
昔の暮らしを彷彿とさせる、教科書でしか見たことのない景色に思わずわあ、と声が出てしまう。
感嘆と同時に本当に文明は滅んでしまったんだなぁ…と実感して少し、というかかなり物悲しい気分だ。
「色々伝えないといけないあるからこのまま着いて来てくれ」
『はっ、はい』
…周りから向けられる奇異なものを見る視線が痛い
今まで何人も復活した人はいるんだからそんなに珍しくもないでしょ！！そんな見なくても良いじゃん！と、そこまで考えてふと疑問が湧いてきた。
まあいっか。それは司さんの説明が終わってから聞こう。
実はただ凄まじい視線の中司さんに声を掛けられるほどの勇気を持っていないだけだったのだけど、そんな言い訳を心の中で言って私は、さりげなく司さんの後ろに隠れながらついていった。
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作者名：ハント | 作成日時：2023年3月16日 8時
