石の世界の雪舟少女[Dr.STONE] (ページ16)

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ネチョッとしたものページ16

無事帰ることができた私はせかせかと墨作りを開始した。

部屋だと作業するには少し狭いため、外に出る。

まずは草の茎をさいて…と一つ一つ丁寧に作業を進めていく。

驚くことに、材料が揃うと意外と工程は思い出すことが出来た。真剣に墨作りをしてくれていた旧世界の自分に感謝だな。

幸い記憶が正しければネチョっとしたものは最後の方に使うはずだ。そこまでの工程は進められる。

土器に着いた灰を採取したら、とりあえず第一段階クリア、といったところだろうか。

ふう、といつのまにか力んでいた体を緩める。

ここまで来てようやく、ネチョっとしたものが必要になる。

確かネチョッとしたものを灰に混ぜるのだけど…あああダメだ。思い出せない。

必死に特徴を思い出す。えっと腐るものだったよな。ああ、そうだ。少し酸っぱい感じの匂いがしたんだっけ。

ううん、とうなっていると後ろから声をかけられた。

「どうしたんだい？」

『司さんっ！』

藁にもすがる思いだ。頼るに越したことはないだろう！

『実はちょっと思い出せないものがあって…』

「…粘着性があって、腐って、酸っぱい匂いのするもの…うん。ちょっとまっててくれ」

必死になって思い出した私の情報を聞いた司さんは、少し考えてからどこかへ向かった。

何か分かったのかもしれない。何か少しでもヒントが得られることを天に祈りながら、司さんが帰ってくるのをじっと待つことにした。