EPISODE 13 ページ14
「本当に…いいのか？」
『うん。』
そう言って頷くAは、とても優しく微笑んでいた。
片手を腰に、片手を頭に回して引き寄せる。
俺より何倍も小さいその体は、力を入れたら骨がへし折れそうだ。
「痛くないようにするな。」
『うん。』
首に顔を埋めると、キスマークに牙が触れる。
『いっ…』
「大丈夫か？」
『大丈夫だから、続けて。』
何故か、無理に笑っているように見えてくる。
本当はA、吸血されるの怖いんだろ。
やっぱり、妹の怖がることはできねぇよ。
「A、本当に俺いらねぇ。」
『まだそんなこと言ってるの？怖がってないから大丈夫なのに。』
Aは俺の心を読んだかのように、さっきと変わらず微笑みながら話す。
『これ以上…』
「ん？」
『これ以上…大好きな人の、苦しむ顔を見たくないんだ。』
「っ…A…？」
Aは、大量の涙を流していた。
その涙を制服の裾で拭いてやる。
『ん…ありがと。』
「おう。」
しばらく俺とAの間に沈黙が続く。
すると、先にAが口を開いた。
『小さい頃ママが死んじゃったの。ママはね、本当に優しくて綺麗だった。』
てことは、今Aの母親は居ないってことだよな？
『だけどある日、使い魔がママを裏切って殺したんだ。Aの目の前で。』
こんなに小さいのに、目の前で自分の母親を殺されたのか。
俺達兄弟、みんな辛い過去を持ってんだよな。
『その時のママね、すごい苦しそうだったの。だから、大好きな人の苦しそうな顔はもう見たくなくて…』
言い終わると同時に、また泣き始めた。
優しく抱きしめると、頭を撫でてやった。
「心配するな。ママが居なくても、今は俺達が居るだろ？それに、今の俺も苦しくない。だから大丈夫だ。」
『うん…そうだね！』
涙でぐちゃぐちゃの顔で、ニッコリと笑うその姿が可愛くて。
思いっきり抱きしめたくなる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀 - 大変ですね美紀が住んでいる地域も5人も出てしまいました (2020年4月19日 14時) (
レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
Amelia_.(プロフ) - 美紀さん» それが出てるんです！(；；) (2020年3月22日 17時) (レス) id: 893622ef20 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 作者さんのところはコロナウイルスどうですか大丈夫ですか (2020年3月22日 15時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
Amelia_.(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます(；；)美紀さんもコロナ気を付けてくださいね!! (2020年3月21日 12時) (レス) id: 893622ef20 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - 初めまして美紀ですこのアニメ大好きなので最高ですこのアニメ更新大変だと思います頑張ってください応援してますコロナウイルスが流行っているので気を付けてくださいね (2020年3月20日 9時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Amelia_. | 作成日時：2020年3月17日 6時
