・ ページ6
.
『おーい廉？そろそろ時間だってよ。起きろー』
耳元でそう言うと、綺麗な顔を少しだけ歪ませてベンチの上で身をよじらせる廉。
そんな姿までもが、私は可愛く感じられる。
胸を打たれたように心臓ら辺を抑えていると後ろから紫耀と杏菜の苦笑が聞こえた。
しょうがないだろ、推しが可愛いんだから。
けど廉はというと目をつむったまま動こうとしない。起きる気配もない。さすが。
昔から一度寝てしまえば中々起きなかったけど最近はとことん寝起きが悪い。
アラームでは全く起きなくて中学の終盤なんてほぼ遅刻ギリギリ登校だったし。
それは今もそうで、特にこの春休み去年と違って課題も受験高校からのちょっとしたものしかなかったし、
元々頭の偏差値も言っちゃダメだけど気持ち悪いくらい高いのが廉。
あんな課題なんて速攻終わってたから多分好きなようにゲーム三昧だったんだろう。
だからこそゲームのせいで睡眠時間が減ったり杏菜が言ってたように昼夜逆転したり睡眠不足になってたんだと思う。
だからちゃんと寝てってあれだけ言ったのに…
『廉、起きろって！れーん！！』
今度は少し声を張り上げて再び廉の体を揺らすが起きる気配は相変わらず全くなし。これはもう私もお手上げなのでは。
三人に助けの目線を向けても無理の一択。そうですよね、昔から廉が唯一起きるのは私の声だけですもんね。
でも今回は私でもどうしたら起きてくれるのか分からない、いつもなら朝ご飯の匂いで起きてきてくれるけどここは家じゃないので無理。
最悪は前杏菜がやってたみたいにペシペシ叩いてみる？
いやいや私に推しが叩けるとでも？無理です、絶対に無理です。
でもじゃあどうやった起こす？もっと激しく揺さぶって…
「おはようのちゅー、してくれへんの？」
薄目を開けてそう言ったのは、間違いなく目の前の廉。
思わずフリーズ。
お、おはようの…ちゅー……？？？
つーか起きてんじゃねーか。
なんて叫びたかったけど、かそんな言葉すら出てこないほど私の体は固まっている。
意地悪そうに口元に笑みを浮かべる廉くんを見て私の顔は熱があるんじゃないかと思うほど真っ赤になっていた。
私の一生の推し、永瀬廉は
先月、私の彼氏になりました。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：KAI | 作成日時：2023年7月10日 13時
