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紫「はいはいわかりましたよ、俺はお邪魔なんですねー。んじゃあAちゃんバイバイ、ネクタイありがと〜」
『お、おぉ…？』
またヒラヒラと手を振りながら校舎の方へと歩いていく紫耀の背中を見送ってから俺はふぅと肩を下ろす。
なんやったんや…
ほんまに油断も隙もあらへんなアイツ。
それに、可愛ええけど天然で鈍感すぎるAも心配やわ。すーぐ他の男にほいほい着いて行きそうやし。
今もAはなんで急に紫耀が帰ったんか意味不明って顔しとる。曖昧なまま手振り返したんかな。
紫耀の姿が見えへんくなってから俺は元いたベンチに大きなため息を零しながら座り直した。
なんかどっと疲れた気するわ…
『廉、大丈夫？体調が悪いなら保健室にでも…』
「ん？あぁ、大丈夫やよ。心配してくれてありがと」
なんやら俺のこと心配してくれてるみたい。
それが嬉しくて笑うと心配そうな顔をしつつも小さく微笑み返してくれる。
その笑顔見ると、なんか元気出てくるわ。魔法かいな。
大きく息を吐いて背もたれへ脱力したようにもたれ掛かるとその隣にちょこんと座るA。
綺麗で細くて小さくて、俺の手と比べればもっと小さく感じるAの手を見てまた嫌な感情が湧き出てくる。
その手が、紫耀に触れられてたかと思うと尚更。
つくづく俺ってめんどくさい彼氏やなぁ…
でもしゃーないやん、Aが可愛すぎるんやし。なんせ彼氏なんやから嫉妬くらいするやろ。
なーんてこないだ杏菜と海人に言ったら重すぎるんだよの一言。
じゃあどれくらいならええねんって話、逆に聞くけどお前らは好きな奴が自分じゃあらへん奴とつるんでて黙って見とけるんかっての。
無論、俺は無理。相手が異性やったらもっと無理。
好きな子が見るんは自分だけがええねん。
俺は背もたれから体を起こすと緩く結ばれてた自分のネクタイに手を掛けた。
少し引っ張れば簡単に取れる。
少しの開放感を感じつつ、俺の行動をぽかんとした顔で見てるAにネクタイを渡した。
「A、結んで」
『は？え、なん、で…』
「…ええから」
半ば強引にネクタイを握らせると困惑したままのAを抱き上げる。
……軽、ちゃんと食っとんのこれ。
小柄で少しの力でも持ち上げることが出来たことに少し驚きつつも自分の膝に優しく下ろした。
驚いた顔で目を白黒させるAを見て笑を零しつつ、柔らかい腰周りを撫でる。
「ほら、早く」
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作者名：KAI | 作成日時：2023年7月10日 13時
