◆ 些細な変化でも ページ11
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A side
廉がいつもと違う。
いつもかっこいいけど今日はまた違うかっこよさが滲み出ている。
そんなカッコよかったら、ほかの女の人がみんな廉のこと好きになっちゃう…！
なんて一人焦ってるけど、廉がかっこいいのは当たり前なので仕方ないかとも思い始めてる。
今までの廉も好きなんだけど急に大人っぽくなった廉が好みすぎて。
髪だって明るく染めちゃってるし、着崩した制服だって首元が見えてなんだか色気を感じる。
というか…
『…廉、アンタさネクタイは？』
「ネクタイ？あー、めんどくさいからつけとらん」
何も入っておらず軽そうな鞄からヒラヒラとネクタイを取り出す廉。
ネクタイがないお陰で第二ボタンまで外された首元のネックレスがまた目立つ。
それに対面する時目のやり場に困るんだってば。
『もう…ちゃんと付けなよ、身だしなみくらい整えなきゃ』
「えーめんどい、じゃあAがつけてぇや」
『えぇ…私が？』
杏「いや何歳児だよお前」
「15歳児」
海「素直に応えろってわけじゃないと思うんだけど」
駅のホーム。五人でそれぞれ並んで電車を待っている間でも杏菜と廉はたまに口喧嘩をしている。
それを横目に仕方がなく廉のネクタイを結んであげると嬉しそうな顔をする。
後ろで杏菜が呆れたような顔をしてたのも見えた。
第二ボタンだけ止めて、紺色の生地に緑色のチェックが入ったネクタイを結んでいく。
なんだか新婚さんみたい、なんてひとりで思ってまた恥ずかしくなるのだ。
「開けたん？」
『え？』
「ピアス」
廉の手が私の頬にかかる髪をはらって、耳に触れる。それがくすぐったくて身をよじらせるとクスッと笑った廉。
開けたばかりのあまり目立たないピアスごと撫でられて顔を赤らめた。
気づいてくれたのは嬉しいけどやっぱり恥ずかしい…
言えないんだよなぁ、廉と同じところに開けたかったから開けたなんて。
『う、うん…、変…かな、？』
「いや、可愛ええよ。よう開けれたな自分で」
『えっと、杏菜に開けてもらったんだ。私一人じゃなんか不安で…』
「へぇ…杏菜に？」
ピアスを撫でる廉の目がなんだか黒く淀んだのに気づいて口を噤む。
もしかして地雷…？踏んじゃったかも…？
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作者名：KAI | 作成日時：2023年7月10日 13時
