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見回りを終え、城に戻ると野菜をたくさん持ったひとらんらん様と遭遇してしまった。私を見つけると、こちらに来た。何か言いたいことでもあるのだろうか。とても、聞きたくない。


『お疲れ様です。それでは失礼します』

「待って。いつまでご飯食べないつもりなの?一応毎回用意しているんだけど。無駄になるから来なよ…」


颯爽と逃げようとする私の腕を掴み、引き留める。中々の力が加わっており、私は顔を歪めないように気をつけた。
――毎回、用意されていたのか。知らなかった…きっと総統閣下が用意するように言っておられるのだろう。


『あの食事会は、元々総統閣下と幹部だけで開かれるものでございます。私は幹部でありませんので、遠慮しておきます』

「…一緒に食べなくってもいいからさ、ご飯くらい食べてよ」


こんな言葉を聞いてしまったものだから、私の中で一つの疑問が渦巻く。食べるというのは、生命を維持するのに必要な行為。それを、するように促す?まるで、生きて欲しいみたいな。
私は聞いてみようと口に出した。


『私を、必要、だと、思います、か?』


上手く声にはならず、とぎれとぎれになってしまった。けど伝わったと考えていいだろう。だって、ひとらんらん様の顔は歪み、顔色が悪くなっていったから。
答えたくない、と受け止めてしまおう。


『このような質問をして、申し訳御座いません。この質問は忘れてください。それと、無駄になるならば、用意していただかなくて結構です。今まで有難うございました。では失礼します』


私はひとらんらん様の顔も見ずに、言いたいことだけを言って去った。

自分でもあの態度はないと思う。質問したのに答えも聞かず、相手の善意も拒否した。こんな態度を取りたくなかったのに。


あんな態度をとったのは必要じゃないと言われるのが怖かったから。

嫌われていることを認めたくなかったから。

自分勝手な理由だ。



無能なんだから、嫌われるのは当然。

必要じゃなくなるのは当然。


なにを今更。

分かっていたじゃないか、ずっと前から。





なのに、なんで涙が出てしまうのだろうか。

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なつき*俺ナー☆(プロフ) - 子供たちとです^^ (2020年4月24日 13時) (レス) id: 52f2fc1340 (このIDを非表示/違反報告)
あか(プロフ) - なつき*俺ナー☆さん» 返信遅れてしまい申し訳ありません。鬼ごっこ、というのは我々国の子供達とでしょうか?それともタイマンでしょうか? (2020年4月23日 23時) (レス) id: c2b0dfe023 (このIDを非表示/違反報告)
なつき*俺ナー☆(プロフ) - 個人的にぴくとさんの鬼ごっこが見たいです (2020年4月18日 10時) (レス) id: 52f2fc1340 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あか | 作成日時:2019年12月23日 0時

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