嫌いになりたい【wrwrd!】 (ページ7)

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「A様、僕どうだった？凄い？」

そのキラキラな表情のまま私に感想を求めるアル君。素直な感想でよければ、と言い、アル君の頭を撫でながら言う。

『よく最後まで残りましたね。ランダムに狙いをつけてたとはいえ、凄いです。足も早いですし、体力もある。そしてなによりお礼を言える素晴らしい人間だと感じましたよ』

「んへへ…嬉しいなぁ…A様も、すっごく足早いし、強いし、優しいよ！！だって僕のこと助けてくれたもん！」

『お褒めいただき光栄です…ありがとうございます』

「そうだよ！私もありがとう！ほめてくれたの嬉しかった！」

「おい、何やってんの？」

子供達に囲まれながら話していると、背後から城でよく聞く声がした。

『シャオロン様、お疲れ様です。今日は見回りをしております』

「サボってんじゃねーよ」

冷たく吐き出すその言葉。子供達の前なんだから、もう少し優しくして下さい。そんなこと言えるわけないけど。
とりあえずこの場を早く終わらせようと謝る。いや、謝ろうとした。

『…もうし』

「A様はサボってなんかないよ！僕が誘っちゃっただけ。だから、僕が悪いんだ。ごめんなさい、シャオロン様…」

アル君が私の言葉を遮ってしまった。違う。そんな思いを胸に秘めながら、冷静に言葉を紡ぐ。その時に優しい笑顔を忘れずに。

『違いますよ、残念ながらその回答は不正解です。私がまた今度お休みの時に遊べばよかっただけの話。今日はもう仕事に戻ってしまいますが、今度のお休みに私と遊んでくれますか？』

「うんっ！」

『お手を煩わせてしまい、申し訳御座いませんでした』

「チッ」

シャオロン様が不機嫌そうに去っていったのを確認して頭を上げる。その時に不安げな子供達が見えてしまった。

「私シャオロン様かっこいいとは思うけど、A様に対する態度が嫌い」

「僕も」

『そのようなことを言ってはいけません。私が仕事をしないのがいけないんですよ。皆さんのお母様も勉強や片付けをしなかったら怒るでしょう。それと同じなんです』

「でも」

『私は大丈夫。心配してくれてありがとうございます。それと……私、彼らのことが大好きなんだ。嫌いにならないであげて』

「………A様が言うなら」

それでは、とその場を離れていく。これ以上彼らと話していたら、本格的に幹部らのことを嫌いになってしまう。

それは、嫌だ。