嫌いになりたい【wrwrd!】 (ページ11)

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書類をしていると、夕飯の１０分前を告げる放送がなる。
もう、か。とても時間が早くすぎた。やはり作業というか、仕事があると違う。色々考えずに済むし。

私はしんぺい神様に心配をかけまいと医務室に向かい、いつもどおりにタブレットを飲み、少し寝かせてもらった。そこから起きてカウンセリングを今している。
寝るのとかカウンセリングは、タブレットを飲むようになってしまってから、毎回やると宣言された。

「Aちゃん、昨日となにか変わったようだね」

しんぺい神様は異様に鋭い。オスマン様みたく外交官をしているわけでもないのに、私の心を見透かしてくる。

『お見通し、ですか……やっと、やっと認めましたよ。彼らに嫌われていること、暴言を吐かれていることを。…必要ではないことを。本当に、今更ですけど』

「…無理しないで。それを認めるのは、とっても辛かっただろうから。泣いても、いいよ？」

そんなに優しい笑顔で此方を見ないで欲しい。泣いていいなんていつぶりに言われたんだろう。

『…しんぺい神様は、私のこと、嫌いじゃないん、ですか？』

「もちろん。Aちゃんは嫌いじゃない。好きだよ」

好きだという言葉に涙腺が崩壊し、一気に涙が溢れてきた。この涙は辛かったからなのか、好きと言われ嬉しかったのか自分でも理解が出来なかった。

しんぺい神様は泣いている私を優しく抱きしめ、涙で服が濡れるのにそんなことも構わず胸を貸してくれた。その間も辛かったね、よく頑張ったよ、えらい、とずっと慰めてくれた。

しばらくして泣き止む。私の心は栄養タブレットを飲む前よりも落ち着いており、しんぺい神様は私の精神安定剤なんだと思った。

『も、申し訳御座いませんでした。上司の前で泣き、服も汚してしまうなんて』

「謝らないでよ～。抱きしめたのは僕なんだから。っていうかそんなの言ったらセクハラだからね、僕がやったこと」

セクハラ？あぁ、抱きしめてくれたこと。そんなの慰めてくれただけなのに、訴えるわけないじゃないか。けど涙で汚してしまったことには変わりない。

『いえ、しんぺい神様にはなんの非もありません』

「じゃあAちゃんにも非はないよ。泣いていいって言ったのは僕だし、服が汚れるなんて気にしてないし」

『…ありがとうございます、しんぺい神様は優しいですね』

こんなに、慰めてくれるなんて。

しんぺい神様はなぜか不満げな顔をしていますが。