daiki ページ23
常田さんside
………おー
どーした
スタジオで作業すべく、部屋に入れば
珍しく、
全身全霊とでも言うのか…
何かに取り憑かれた様に演奏するAの姿
とにかく荒々しくて、
激情を音に託して、
まさに 楽器と一身一体
『やべー…』
恐らく即興であろう、二度と同じ旋律を聴けない
そう思ったら、そこから暫く動けなかった
「…っ……」
時折漏れる、息遣い
じわじわと、芯が痺れる様な感覚を味わっていたが
急に演奏を止めてしまった
「ふぅ……」
『…お疲れさん』
「…あー、」
俺の姿を認識すると、さっとスタジオから出て行ってしまう
無意識にそれを追いかける
何かあった時に、Aが決まって行く場所
屋上に着くと
Aがベンチに座ってボーッとしていた
『……』
無言で隣に座ると
Aが手を伸ばして来た
「…煙草、ちょーだい」
代わりにその手を取って、俺のポケットに突っ込む
「……」
『なによ笑』
まぁ 何かあったんだろうが
Aはこういう時、
話し出すのに時間がかかるんだよな
「煙草。」
『……ほれ』
俺の煙草を差し出して
綺麗な指で挟まれたそれに、火を点けてやる
「……けっはーーーーー」
『…ぶはっ笑笑』
変な声でむせるAから煙草を奪い、
俺が美味しく頂く
「…強過ぎ」
『なによ、どーしたん？』
「んー」
『…ここ冷えるしょ？戻る？』
「…大希戻りなよ」
『ふは笑、俺がお前置いて行くと思うか？笑』
そんな泣きそーなツラして
俺はお前を放って置くなんざ、出来やしねーんだよ
「大希が風邪引いたら困る」
『Aが風邪引いたら困る』
「私は声を生業としてません」
『弦楽器も管楽器も打楽器も、総ての楽器に息は使うだろ』
総てのリズムを総括するのは、息遣いだ
「……息、………たまに止まりそうになる」
『…』
「止めてしまいたくなるわ笑」
この世の中、確かに生きづらい
それでも、それでも、
『マジで止めたくなったら言えよ』
「ふふ、止めてくれるの？」
『ん。ベッドの上でなー笑』
全ての音が止まってしまう、その時も
お前と一緒ならドコでもイケル
地獄でも、
天国でも。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 295人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
理奈(プロフ) - コメント失礼します。ロンドンに常田さんが迎えに行く。続き待っています。 (2020年11月9日 12時) (
レス) id: 51b4d0b4c8 (このIDを非表示/違反報告)
輝夜姫(プロフ) - やゆさん» やゆ様、ありがとうございます！とても嬉しいです。励みになります(^^) (2020年4月18日 20時) (レス) id: e5429bcfb1 (このIDを非表示/違反報告)
やゆ - 輝夜姫さんのお話がとっても好きです！！ストーリーも素敵だし読みやすくてきゅんきゅんします、、！更新頑張ってください！！ (2020年4月18日 13時) (レス) id: a6e30bc2be (このIDを非表示/違反報告)
1106(プロフ) - 輝夜姫さん» いや、もう、本当にめっちゃ好きです。と言うか私の作品も見ててくれたなんて……！しかもこんなに良い作品も作ってくれて！感謝でしかないです！！！ (2020年2月23日 8時) (レス) id: a6c9e7856a (このIDを非表示/違反報告)
輝夜姫(プロフ) - 1106さん» どこかで拝見したお名前と思ったら…！1106様にそう言って頂けて嬉しいです、ありがとうございます！ (2020年2月22日 23時) (レス) id: e5429bcfb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：輝夜姫 | 作成日時：2020年2月17日 4時
