デザイナーの願い ページ24
「兄ちゃん、ちょっとは休まないと。
ぶっ倒れたら洒落になんないよぉ」
作業室に行くとドレスのデザインに色やメモを加えていき、布や小物と睨めっこを永遠と繰り返している兄ニーノがいた。
「あー、もうちょっとしたら休む。」
「それさっきも言ったよぉ。」
ぶっきらぼうに返すニーノは、マリアがプレミアムレアドレスを着たいと言ってから作業を寝る間も惜しんで続けていた。
フラフラになったら、アージェが止めに入るのもいつもあることだが今回に限ってアージェが止めてもニーノは作業をやめなかった。
ぐちゃぐちゃになった棚を片付けながらアージェは溜息を付くと、ちらりと視線をニーノに寄こした。
いつの間にか先程描いていたページは、めくられ新しいページへ一心不乱にデザインを描き込んでいた。
描きドレスに熱意を全て捧げこむようなニーノをアージェは、羨ましく思っていた。
ニーノはやればできる子として育てられたがアージェは何と無くやればできる子だった。
昔から色んな人に比べられてきた双子だが、デザインははるかにニーノの方が上だった。
羨ましくて仕方ないのに、ニーノはまだ貪欲に求めている。
もっと上へ、高みへそして頂上へ。
「連れてってもらうんじゃない。一緒に行くんだ。」
「ん？何か言ったかアージェ。」
「何でもないよ兄ちゃん。
頑張ろう。僕らのミューズの為に。
最高のモノを作ろう。」
負けない。食らいついていくんだ。
「何だよ急に。
当たり前に決まってんだろ。
マリアのためなんだから」
何言ってるんだこいつ。と言いたげな顔で僕を見る兄ちゃんに僕はいつも通り笑って見せた。
「ただの確認だよ。兄ちゃん」
・
「マリアのためのドレス、か・・・」
ぐっと背伸びをしたら関節が鳴る音がする。
アージェが来た時間はもうとうに過ぎていた。
スケッチブックは、もうとうに使い切っていた。
詰まる所、行き詰ってしまった。ネタ切れである。
淡い白金の髪と白い肌は、暗い色が映えるが面白みがない。
いっそのこと淡い色でまとめると、印象に掛ける。
燃えるような真っ赤で透き通ったレッドスピネルの瞳は全てを見通してしまいそうな感覚になる。
知的に見えたり、破天荒に見えたり表情がころころ変わる彼女はまるでつかみどころがない。
それでも、
「もうチョイ頑張るか」
マリアの為にまた机に齧り付くのであった。
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天羽音花 - 最近アイカツフレンズの小説を書き始めたこともあり、色々な人の作品を読んでいたところ、この作品を見つけました。設定やお話の書き方、ストーリーの展開、どれを取っても参考になりますし、とても面白いです！これからも更新頑張ってください！ (2018年6月9日 7時) (
レス) id: 55b5068c58 (このIDを非表示/違反報告)
果口 陽暉(プロフ) - 斗渚さん» ありがとうございます！光栄の極みです！ (2017年12月20日 7時) (レス) id: 17a8e4b861 (このIDを非表示/違反報告)
斗渚 - この作品は面白いです！寒くなってきたので風邪をひかないで更新頑張ってください。 (2017年12月19日 15時) (レス) id: a3e40a4b60 (このIDを非表示/違反報告)
果口 陽暉(プロフ) - 泡沫のアリアさん» ほ、本当ですかΣ(´∀｀；)お手本は嬉しいです(/ω＼)応援ありがとうございます(人''▽｀)頑張りますっっ！ついでにこの作品を作った理由はオリキャラをレイさんと一緒にステージに立たせたかったからです！！ (2017年11月23日 15時) (レス) id: 17a8e4b861 (このIDを非表示/違反報告)
泡沫のアリア(プロフ) - 書き方とかお話の設定とかが全て私が読んできた中で一番お手本&面白い作品です！これからも頑張って下さい！応援してます！ (2017年11月23日 6時) (レス) id: 4695091f56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：果口 陽暉 | 作成日時：2017年11月19日 16時
