全て捧げろ (ページ8)

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８主人公ページ8

急いでアパートの錆びれた鉄骨の階段を駆け下りる。

怖いしあの雰囲気が居心地悪くて逃げるよに飛び出した。

いや、待って。ここどこだろう・・・？

当たりを見渡してまた階段を駆け上った。

さっき飛び出てきたばかりの彼の部屋の隣の表札を見る。

“A”

私の苗字。

さっき出てきた部屋の表札は

“京本”

え・・・まさか・・・

頭が混乱状態の中、表札を眺めているとタイミングよく彼の部屋の扉が開き再び鉢合わせてしまった。

「・・・なに？忘れもん？」

「あっ・・・いや、違います！えっと・・・」

「まだなんか用？」

彼はあからさまに嫌そうな顔をして、だるそうに私を睨んだ。

「あ、あの・・・私も、信じられないんですけど・・・昨日から隣の部屋に入居したAAです」

隣の部屋を指さしながらそう伝えた。

あからさまに嫌そうな顔されるんだろうな、と恐る恐る彼の顔を見た。

真顔で「あっそ。じゃ」というだけで、私の横を通り過ぎ急ぐようにアパートのぼろい階段を下りて行く。

京本くんか・・・・

京本くんとは仲良くなれそうにないな・・・

隣人と深くかかわることは今の世の中そうないと思うけど・・・・

そう苦笑いしながら自分の部屋に戻った。