全て捧げろ (ページ7)

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７主人公ページ7

【A】

陽の光が眩しい・・・というか、めっちゃ頭痛い・・・もう少し寝よう・・・

そう思って寝返りを打ったけどいつもの布団と違う違和感を覚えた。

最近引っ越してきたぼろ臭いアパートのにおいではなく生活感のあるにおい・・・・？

そして、ん？？？？・・・・・・・・男の人の・・・におい・・・？

寝起きの回らない頭で考える。

数秒後、昨晩のコトを一気に思い出して胸元を布団で隠しながら慌てて飛び起きた。

やってしまった・・・知らない土地に来てそうそう知らない男とやったか・・・

と頭を抱えながら自分の胸元を見ると洋服はしっかり着たままで、脱がされた形跡は一切なくきれいだった。

もしかして、なにもなかった・・・？

よかった～っとほっとしながらベットから降りてワンルームの部屋を見渡した。

なんとなく私の部屋に間取りが似てると思ったけど、ワンルームのアパートなんて大体どこも一緒と気にも留めなかった。

見渡すも部屋には誰もいない。

スーっと風が入って来たのでベランダの方を見るとそこには昨日の金髪の男がいた。

げ・・・・・この人に世話になってしまったのか・・・・

昨日のこの男の態度を思い出して、飲みすぎた自分を責めた。

近寄りがたい雰囲気を醸し出す彼は、ベランダで何もない野原を見ながら静かにコーヒーを飲んでいた。

そんな姿もちょっと似合ってる・・・なんて思ったけど、こうしてはいられず恐る恐る声をかける。

「あ、あの・・・」

声をかけるとくるっと振り向き無言で部屋の中に戻ってきた。

「昨日はほんとすみません・・・あの、私何もしてないですよね？」

「・・・・・は？なにが？・・・起きたならもう帰って」

「え・・・」

私とは１度も目を合わせずに真顔でそう言い放った。

美形なお顔からの真顔は迫力があって余計に怖い。

あまりにも冷たい態度と無表情に拍子向けした。

「帰って。俺これからバイト」

邪魔とでもいうかのような視線を送られる。

見るからに迷惑そうな顔をしていた。

「あ、すみません。あの、ご迷惑かけたのでこれだけでも・・・」

そう言って財布からお札を出して彼に渡した。

「いらない。別に大したことしてないし・・・じゃあ」

私を追い払うように告げると彼は身支度をし始める。

私も追い払われるように慌てて彼の部屋を出た。