全て捧げろ (ページ5)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:132,280 hit

５大我ページ5

【大我】

今日もバイト帰りに樹のいる居酒屋に寄る。金曜日ということもあり遅い時間でもまだ賑わっていた。

｢ここなら空いてるよ｣と樹が示した場所の隣には、幸薄そうな女がサラリーマンのおっさんに埋もれて1人で飲んでいる。愛想笑いを浮かべて会釈されたけど“おひとり様同士仲良く飲む気は無い”と顔を背けた。

生憎そこしか空いてないようで仕方なくその女の隣に座った。見るからに顔が真っ赤な酔っ払になっていて、樹が心配していたけどまだ勢いよく飲んでいた。

女のことはそれほど気にも留めずに樹が運んでくるビールを待っていると、隣から大きなため息が聞こえた。

ため息つくとかやめろよ・・・こっちまで気分落ちんだけど・・・・

とちょっとイラっとした。

｢ちょっと、そんな大きいため息つかないでくれる？｣

｢あ、すみません・・・｣

口元を手で覆って申し訳ないと思ってなさそうに軽く頭を下げられる。

何となくこの女と関わりたくない。

たばこを咥えて火をつけていると隣の女の視線を感じる。

見下す様に横目で彼女を見ると、ペコペコしてばっかりで面白くない。

俺は露骨に迷惑そうな顔をしてたばこを吸った。

少し樹と話していると隣の女がまた酒を頼む。

樹は飲みすぎる女に飲酒の原因があると察したらしく居酒屋で身につけたそのスキルで何かあったの？と尋ねた。

その女は、聞いて貰いたい口調で口を開く。