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14主人公 ページ14

あの日から数日が経った今夜は、いつもの静かな夜と違う。



深夜なのに騒音で目が覚めてしまった。どこからかガチャガチャとうるさい。



せっかく眠りについたのになんなの?!何ごと?!と思いながら、ベランダから外を見渡した。



その音はどうやら隣の部屋からのものらしい。なるほど・・・ギターの練習してるのか・・・と呆れて、パジャマのまま部屋を飛び出し隣の部屋の戸を激しく叩いた。



ドンドン「京本さん!」ドンドン



少しして扉が開く。そこには迷惑そうな顔をした京本くんが顔を出した。



その顔したいのはこっちなんだけど・・・・



「何?」



「何じゃないですよ!うるさくて眠れない!何時だと思ってんの?」



「あ・・・みんなそれが嫌で出て行くんだよね、このアパート・・・」



答えになってないすっとぼけたことを言い出して呆れた。京本くんが原因でみんな出て行ったのに自分が悪いと全く思ってないようで、不思議そうな顔をする。



「もう夜中だから、明日にしてもらえない?」



そう訴えるも、京本くんは口をとがらせて



「ん〜・・・じゃあバラードにするね」



いや・・・そういう問題じゃなくて!



と言おうとしたら、会話を閉ざされるようにバタンとドアを閉められた。



はぁ・・・まーバラードならいいか・・・



納得はできないが彼を説得するのもできないので私が折れた。甘やかしすぎかな?なんて思いながら部屋に戻ってベットに入る。



しばらくしてギターの優しい音ときれいな歌声が聞こえてきた。安くてぼろいアパートだし、京本くんの部屋側にベットを置いてるから音漏れがひどい。



でも、京本くんって歌上手いんだ・・・



きれいな歌声だなって酔いしれていたけど、そのバラードはどう聞いても失恋ソングで私の心に寄り添ってくる。



それに心を揺るがされてしまって涙が溢れて逆に眠れない。

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作者名:えーじ | 作成日時:2019年11月19日 23時

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